日本共産党

医療事故の背景をどう考える?

2000年11月26日(日)「しんぶん赤旗」

 〈問い〉 医療事故が頻繁にニュースになっています。医療従事者の責任とあわせ、現在の医療制度の問題など、医療事故の背景をどう見たらよいでしょう。(京都・一読者)

 

 〈答え〉 医療事故によって、国民のいのちと健康がおびやかされるような事態はあってはならないことであり、その根絶は緊急の課題です。

 事故の背景に、医療技術の高度化や患者の高齢化、重症化などでリスクが高まっていることが指摘されています。同時に、それにふさわしい医療制度や人員基準、設備の設置基準の改善が大きく立ち遅れ、むしろ国のあいつぐ医療改悪、医療費抑制で危険が拡大しているところに、根本の問題があります。東京医労連の看護婦アンケート調査でも、医療事故の一番の原因として、七割が「人手不足・多忙」をあげています。実際、欧米に比べ日本は百床あたりの医師数は三分の一から五分の一、看護職員数は三分の二から四分の一という状態です。

 こうした背景を抜きに、事故を個々人の責任やその医療機関だけの問題と見るのは正しくありません。現場の深刻な実態にマスコミからも、人員などの基準の引き上げと、そのための財政負担を求める声があがっているほどです。

 日本共産党は、医師、看護婦など医療従事者を増員し、安心できる医療体制を確立すること、そのため必要な診療報酬を保障することを主張してきました。このことがますます重要になっています。

 医療事故そのものの対策でも国のとりくみは遅れています。来年度概算要求で初めて「医療の安全対策」予算がもりこまれ、人的、物的要因の両面から安全対策を調査研究するとしています。

 医療従事者にとって医療事故は、患者のいのち、健康を守るというみずからの使命に反するものです。患者の立場に立った自己努力として、情報公開とか、具体的な器材改善など医療機関、関係団体自身のとりくみも始まっています。小さなミスが重大事故につながらないようにと、航空機の機長を呼んで「危機管理」について学んでいる例もあります。こうした現場のとりくみのなかで、遅れた日本の医療体制の改善方向も明らかにし、医療事故防止を進めることが重要だと考えます。(梅)

〔2000・11・26(日)〕

 


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