2000年4月16日(日)「しんぶん赤旗」

 ヨーロッパ諸国の解雇規制法は?


 〈問い〉 ヨーロッパ諸国では、日本と違い解雇規制立法が整備されているとのことです。どんな法律なのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 ヨーロッパ諸国では、解雇規制立法が整備されています。

 ドイツには、「解雇制限法」があり、二十〜六十人の事業所では五人以上、六十人〜五百人ではその一〇%か二十五人、五百人以上では三十人以上の労働者を解雇することを集団的解雇として厳しく規制。集団的解雇を三十日以内におこなおうとする時は、州の職業安定局に届け出る必要があり、当局が届け出を受理してから一カ月間は、当局が同意した時に限り効力を生じるとされています。また、「経営組織法」という法律で、事業所従業員代表委員会の意見聴取を義務づけ、これを経ない解雇は無効とされています。

 フランスでは、「経済的理由による解雇の防止と職業転換の権利に関する法律」で、解雇を規制し、被解雇者の職業転換を支援する措置がとられています。同法は、九〇年代に強化され、転職促進のための計画を含まない解雇計画は無効とする、従業員五十人以上の企業が経済的理由で十人以上を解雇する場合、労働監督局の許可を要することなどが盛り込まれました。イタリアでは、「解雇制限法」で個別的解雇を規制し(解雇が有効であるためには正当な事由、理由が必要)、さらに「労働市場法」でリストラのような集団的解雇を規制しています。イギリスは、「一九七五年雇用保護法」で、余剰人員解雇への規制を加え、使用者に労働組合との協議を義務づけています。

 ヨーロッパでは、各国レベルの解雇規制立法とともに、EU(欧州連合)が「指令」の形で解雇規制のルールを定め、国内法化を加盟国に義務づけています。

 日本では、解雇を規制する法律はなく、リストラ・解雇が野放しになっています。これを規制するため、日本共産党は、今国会に「解雇規制法」案を、「サービス残業根絶特別措置法」案、「企業組織再編に伴う労働者保護法」案とともに提出しています。(豊)

〔2000・4・16(日)〕



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