2000年4月2日(日)「しんぶん赤旗」

 企業再編にたいする労働者保護法とは?


 〈問い〉 日本共産党は、会社分割など企業組織の再編をする場合の”ルール”の一つとして労働者保護法の制定を求めていますが、どういう法律なのですか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 日本共産党が制定を求める労働者保護法は、企業の合併、営業譲渡、分割などの企業再編がおこなわれる際に、無法な解雇を規制し、労働者をリストラから保護するルールを定める法律です。

 最近、企業の事業部門や工場を別会社にする分社化や合併など、企業組織や経営者を変更する企業リストラが増えています。ところが、その際の労働契約や労働協約の扱いなどにかんするルールが確立していないため、労働者を解雇したり、労働条件を切り下げたりすることが横行しています。

 政府は、分社化・会社分割とそれを使ったリストラをやりやすくするために、今国会に会社分割法案(商法「改正」案と労働契約承継法案)を提出しました。その内容は、「円滑・容易な分割」をすすめることに主眼がおかれ、労働者の解雇を規制し、労働条件をまもる上できわめて不十分なものです。

 日本共産党は、三月二十八日、国会に「解雇規制法」案、「サービス残業根絶特別措置法」案と合わせ、「企業組織再編に伴う労働者保護法」案を提出しました。

 労働者保護法案の骨子は、次の内容です。(1)企業組織の再編を理由とする解雇を禁止する。あらかじめ企業組織再編後の企業の負担を軽くするための解雇も禁止する(2)再編前の企業に所属するか後の企業にするかは、労働者の同意がなければ決められないようにする(3)前の会社での労働条件や労働協約はそのまま引き継がれる(4)企業組織の再編を会社が勝手にやれないように、労働組合との事前協議を義務づける。一人一人の労働者へも情報公開をおこなわせるようにする。

 ヨーロッパでは、EU(ヨーロッパ連合)が、リストラから労働者を保護するための指令(七七年)を出し、加盟各国が労働者保護のための国内法整備をしています。日本でも、早急に労働者保護のための”ルール”を確立することが必要です。(豊)

〔2000・4・2(日)〕



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