日本共産党

関税定率法「改正」案、国際開発協会加盟措置法「改正」案に対する反対討論

 2003年3月18日 衆議院 財務金融委員会 日本共産党 吉井英勝議員 

 私は、日本共産党を代表して、関税定率法等の一部改正案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正案の両案に反対の討論を行います。

 関税法案に反対する理由の第一は、加工再輸入減税制度の対象品目への革製履物の甲の追加が、一層輸入を促進し、我が国の革靴製造産業の空洞化と衰退を招き、特に圧倒的多くを占める中小零細の製造業者、職人に倒産、廃業など深刻な打撃を及ぼすからです。

 第二に、石油関係の関税の還付制度は、石油精製業者などへの還元がそれぞれ二十億円弱に達しています。これは大企業優遇の性格を持つものであり、その延長は認められません。

 第三に、簡易申告制度の改正は、輸入品現物に対する検査体制を骨抜きにし、貿易の公正で安全な発展を阻害する可能性のある同制度を一層促進させるものです。また、海上貨物到着即時輸入許可制度は、水際でのチェック体制と保税制度を形骸化するものであり、賛成できません。

 なお、港湾問題では、現在、税関の執務時間外における通関体制が試行されていますが、多くの問題が明らかになっており、本格的整備は急ぐべきではありません。

 本法案には、特恵関税制度、農産品の特別緊急関税等の適用期限延長、輸入禁制品の追加等、賛成できる点もありますが、以上の理由から、法案全体としては反対します。

 なお、国内生産者保護のための牛肉に係る関税緊急措置制度は守るべきであります。BSE事件を考慮しても、対日輸入について、今後もさまざまな原因によって増減する可能性がありますが、その都度法律の特例をつくることはこの制度を骨抜きにしかねず、民主党修正案には賛成できません。

 次に、国際開発協会増資法案についてです。

 第一に、国際開発協会を含む世銀グループは、アメリカが自国の戦略的利益を追求するための経済的道具となっており、本法案による日本の追加出資は、アメリカの世界戦略を補完する役割を果たすためのものだからであります。

 第二に、国際開発協会を含む世銀グループの進める構造調整融資は、画一的な経済政策への変更を融資条件とし、途上国に緊縮財政、公的部門の民営化、市場開放などを押しつけてきました。その結果、福祉予算削減、増税など国民に犠牲をもたらし、一部の成功例を除き、経済困難に陥った多くの国を混乱と貧困化に陥れ、債務増大をもたらしています。九〇年代後半のアジア経済危機では、危機を拡大する役割さえ果たしました。

 国際開発協会の今回の増資は、世銀グループのこの仕組みを温存したまま融資規模の拡大を図ろうというもので、これでは、同協会が目的とする後発発展途上国支援の拡大どころか、世銀と途上国間の矛盾を拡大することになります。

 以上、両法案について反対であることを表明し、私の反対討論を終わります。

このほかの討論 → 【討論一覧】 (156通常国会 2003年 1/20〜)

財務金融委員会の質問と討論の一覧】 【3月18日の質問一覧


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