建築基準法改悪案に対する反対討論

 参議院 国土交通委員会 富樫練三議員 2002年4月25日

 私は、日本共産党を代表して、建築基準法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 建築基準法での用途地域の指定による建築の制限、容積率、斜線制限、日影規制などは、本来良好な都市環境を維持するために設けられたものであります。ところが、本改正案は、都市再生の一環として、これらの規制を大幅に緩和するところに中心的な目的があります。
 反対理由の第一は、これらの規制緩和によって業務用ビルやマンションなどの高層化と巨大化が図られ、住環境を始めとする都市環境の深刻な悪化に拍車を掛けるからであります。
 例えば、日影の測定面を地上四メートルであったものを六・五メートルも選択できるとの規制の緩和によって、低層住居専用地域以外の広範な地域、東京でいえば二十三区の面積の約半分の地域では三階以上に日が入ればよいということになります。これでは日陰になってもいいという、一、二階では人間らしい生活はできなくなります。
 また、天空率の導入によって、事実上道路斜線制限は効力を失い、隣地斜線制限の緩和との併用によって、容積率以外には規制するものがなくなります。その容積率も、用途地域によっては最高一三〇〇%まで緩和され、総合設計の採用によって更に緩和されます。この結果、従来とは比べものにならないほど高層ビルやマンションの建築が可能になります。過度の人口集中は新たな都市環境の悪化を招くことになります。
 反対理由の第二は、総合設計制度での審査基準の定型化などによる許認可なしの建築確認だけという手続の簡素化や、総合設計と一団地認定の手続の一本化など、手続の簡素化と迅速化が関係住民の理解と納得を一層遠ざけることにつながるからであります。
 現在でも、高層ビルやマンションの建設に当たって、関係住民への情報公開や説明、住民の理解と納得は不十分であり、施主と住民との紛争の原因になっています。建築のための手続の簡素化などによる時間の短縮は、住民との合意形成を一層困難にするものです。
 反対理由の第三は、これらの規制緩和が、都市計画法や建築基準法が目指した本来の都市再生の方向とは全く逆の方向に向いているからであります。
 ビルやマンションの高層化と巨大化は、現在でも過密である都市への人口集中を一層激しくし、江東区などに見られるように、保育園や学校を始めとする公共施設の不足と、自治体の新たな財政負担を生み出すことになります。国が法律で規制を緩和すれば、地方自治体はやむにやまれず開発指導要綱などで法律のすき間を活用して規制を強化せざるを得ないという制度上の矛盾を一層拡大することになります。
 首都圏や近畿圏では、マンションやオフィスビルなどの過剰供給さえ警告されているにもかかわらず、更に規制緩和で超高層ビルの建設ラッシュを促進しようというものです。
 都市計画法や建築基準法の本来の目的は、「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保」、このことと、「国民の生命、健康及び財産の保護」であり、この方向にこそ都市再生の道があります。
 以上が、本改正案に対する反対理由であります。
 なお、本改正案には、まちづくりNPOなどからの提案制度もあり、これは前進の方向と思いますが、実効性を担保するための支援措置が必要と考えます。
 また、シックハウス対策については、建築物の中での化学物質による人体への影響を規制しようとすることは当然のことであります。しかし、対象とする化学物質や規制の基準、対象建築物の範囲、さらに規制の実効性の問題など、極めて不十分であることを指摘せざるを得ません。
 民主党提案のシックハウス対策については、住宅完成後の濃度検査で基準をオーバーした場合の改善措置について、施主が個人であったり施工が中小事業者である場合の支援策も必要であると考えます。提案全体としては、その趣旨に賛同し、賛成するものであります。
 以上で討論を終わります。


*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります


 【討論・発言インデックス


第154国会の「しんぶん赤旗」の主な記事→【1〜3月】 【4月〜

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