独禁法改悪案に対する反対討論 

衆議院 経済産業委員会 大森 猛議員 2002年4月17日

  私は、日本共産党を代表して、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。

 本案は、戦後半世紀にわたって禁止してきた純粋持ち株会社を解禁した一九九七年の改正後、五年見直しの附則を受けて提出されたものであります。

 この五年間に、みずほホールディングスを初め世界的規模の四大金融グループやNTTグループを初めとする巨大企業が誕生し、株主利益最優先の持ち株会社が多数生まれました。

 我が党は、当時、持ち株会社解禁が、巨大企業グループ、多国籍企業の経済支配を著しく強めるとともに、経団連、財界のねらいどおり、大企業による大リストラを遂行する体制づくりを容易にし、そのてことなると指摘をしました。事態は、まさにその危惧が現実のものとなっているのであります。

 質疑でも指摘したように、ここ数年、日本列島にはかつてない大リストラのあらしが吹き荒れています。
 持ち株会社の解禁を契機とする一連の商法、税制等の企業組織再編制度の整備、産業再生法など政府のリストラ支援によって、大企業を中心に、グループ内の不採算部門の子会社の売却、工場、店舗の縮小、閉鎖など、企業組織の身勝手な切り売りと合併、買収、さらに下請中小企業、関連協力企業の切り捨てを通じて、労働者の分社、分割会社への出向・転籍による賃下げ、首切り、解雇、労働条件の悪化と一方的な不利益変更の強要が横行しております。

 本改正案の反対理由の第一は、労働者保護の法制度等を何ら手当てしないまま、こうした大企業の企業再編リストラを一層容易にするものだからであります。これは、結局、労働者の権利と暮らし、中小企業経営を圧迫し、ひいては大量失業と国内産業の空洞化を加速させるものと言わざるを得ません。

 第二に、大規模会社の株式保有の総量制限、九条の二の撤廃は、大規模な合併、買収にブレーキをかけているという経団連の撤廃要求にこたえるもので、巨大企業グループの資本集中を歯どめなく促進するものであります。独占禁止法を強化改正し、この規定を新設した歴史的教訓を没却させるものであります。

 第三に、九条の二の撤廃に伴う九条の規制方式の見直しは、事業持ち株、純粋持ち株を問わず、何ら法的拘束力のない現状追随のガイドライン方式によるいわば持ち株会社全面解禁の総仕上げであり、九条そのものを形骸化させるものだからであります。

 第四に、金融会社による株式保有制限の縮減は、この間、行政当局による裁量権を逸脱した立法行為にも近い運用解釈によって行われてきた金融会社の肥大化という既成事実を追認、合法化するものであるばかりか、巨大銀行グループによる地域金融、中小金融機関に対する金融支配を無制限に拡大するものであります。持ち株会社、大銀行グループの社会的使命を忘れた横暴勝手を醸成することにつながり、到底容認できません。

 以上申し述べて、反対討論を終わります。(拍手)


*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります


 【討論・発言インデックス


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