“ベランダは専有部分”と温室やめない人の対応は

回答者 弁護士 米倉 勉さん(渋谷合同法律事務所)


 

 私の居住するマンションでは、管理規約で、ベランダに物置等を設置することを禁止しています。
 ところが、ベランダの半分をサッシとガラスで囲って温室にしている方がいて、問題になっています。
 管理組合の役員から、規約違反なので撤去するようにお願いしたのですが、ベランダは各自の専有部分だから所有者の勝手だといって聞いてくれません。(愛知県・U生)◇


 米倉 このベランダは、各居室ごとに、完全に区画されていますか。
 ――一応の区画はされていますが、隣の居室部分との間は薄いボードになっており、緊急時には、これをけ破って避難することになっています。


 米倉 そうすると、このベランダはそもそも専有部分ではなく、共用部分と考えられますので、このような温室を設置することはできません。このような構造のベランダは、避難等の共用部分としての機能に反しない範囲で、各居住者の専用使用を認められているにすぎないからです。
 ――この方は、緊急時には温室の中を通って避難できるから、問題はないとも主張しているのですが。


 米倉 そうであっても、ガラス等で密閉している空間は、やはり緊急時には心理的・物理的な障害になるのではないでしょうか。やはり、このような使用方法は、認められないと思われます。
 ――各居室の間が、壁などで完全に区画されている部分についてはどうでしょうか。


 米倉 そのような場合は、構造上は専有部分に該当するものと思われます。しかし、ベランダの使用と管理に関する事項は、管理規約で定めることができ、温室などの設置を禁止することができます。
 ベランダは外から見えるので、美観上の統一を求めることに意味があること、また、火災時の消防作業上の必要等があり得るからです。
 いずれにしても、快適で安全な居住のための約束事ですから、管理組合でこのような趣旨をよく話して、納得を得るように努力するべきでしょう。
 それでも聞き入れてもらえなければ、裁判所の手続きで、温室の撤去の仮処分を求めることが可能です。


( 2001年11月21日)



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。


著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp