電力会社の借室変電室撤去どんな方法が考えられるか

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


 

 三十年前に建てられたマンションの大規模修繕をきっかけにマンションの様々な個所を見直しています。防災とか通信メディアも含めた全体的なものにしたいと思っています。
 電力会社の借室変電室というスペースがありますが、借室変電室を撤去させたという記事を見たことがあります。どんな方法が考えられるでしょうか。(大阪府・R子)


 千代崎借室変電室は新築時の電力会社との契約でスペースをマンション側が提供し、変電設備の設置と保守を電力会社がおこないます。まずは電力会社側が考えているメニューによる借室変電室を解消する方法を上げてみましょう。
 一番目はパッドマウントトランスというキュービクルタイプを設置する方法があります。
 これは高さ一・四メートル、幅一・二メートル、奥行き四五センチの鉄のケースの中に動力五〇キロワット、電灯一二五キロワット程度のトランスをコンパクトに納めたものです。設備だけで二百万円から三百万円程度といわれています。
 周りにスペースを確保する必要はありますが、普段は他の用途で使えますので、借室変電室のスペースが利用できることを考えると価値があると思います。
 トランス容量を増設するような場合ですと、無料の時があると聞いていますが、基本的には電力会社への負担金があります。
 二番目は、昨年の春から始まったもので、集合住宅用のトランス設置というものがあります。
 これは高さ一・七メートル、幅一・三メートル、奥行き一・一メートルという、パッドマウントトランスよりは大きいものです。
 コンパクトにしなかったことで、パッドマウントトランスよりは大きな動力五〇キロワット、電灯二五〇キロワットの容量をまかなうことができて、しかもコストが下がったといわれています。
 周りのスペースも結構必要ですが、それはかなり有効に利用できると思います。費用負担はパッドマウントトランスと同様です。
 三番目は昨年の秋から始まったシステムを紹介します。「二条引き込み」といい、いままでは一つの建物に動力一回線、電灯一回線が原則になっていましたが、これを二回線まではできることになったとのことです。
 それぞれが四九キロワットまでの容量なら、電柱の上に載っているトランスを利用し、架空で引き込めるようになりました。
 敷地周辺の架空電線とトランス積載の条件によっては不可能な場合もあるということですが、これは無料だと聞いています。
 電力会社側のメニューも三つになったことで、選択の幅は一応広がりました。

 ――いままで変電室の利用が無料だったことを考えれば、マンション側で費用を持つのはおかしいと思うのですが。
 千代崎電力会社がこのようにメニューを増やした形ではありますが、本来、借室変電室を撤去したいというマンションについては電力会社の責任で無料で変更工事をおこなうべきだと思います。
 三十年前の新築時には、当時の技術としてやむを得なかったスペースだとしても、電力会社は不断の努力でスペース倹約に努める義務を負っていて、ほかの方法でも可能であったことを考えると本当に怠慢です。その努力を怠っていたのですから、今回のメニューは電力会社が進んでマンションに問い合わせをするべきです。多くのマンション住民と手をつなぎ改善をさせていきたいですね。


(2001年02月21日)



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