屋上水槽からの水濡れ工事3社の見積額がまちまちで

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


 

 二十八年経った三十五戸のマンションの住民です。屋上にある水槽から水漏れがして寿命だと判断しています。交換工事の見積もりを三社から取り寄せたところ、金額がまちまちです。どのように考えたらいいのでしょうか。(埼玉県・O生)


 千代崎どのくらいの差がありましたか。
 ――四百万円台の見積もりが最初に出ていて、複数がよいだろうと取り寄せたところ、二百万円台と三百万円台が出てきました。

 千代崎理事会が取り寄せたのですか。
 ――いいえ、最初の会社は理事長が取り寄せて、ほかは会計の担当者が取り寄せたようです。
 マンションの管理は、管理会社を入れないで自主管理をしていますが、理事会で組織的に運営をしているという状態ではありません。

 千代崎理事会が開かれていないと、行ったことの評価が後でもできないし、蓄積がされていきません。自主管理でも、ぜひ組織的な運営を心がけてください。
 本来は水が漏れていても修理が可能な場合もありますが、その点のチェックもするべきでしょう。
 ――なぜこのように見積もり金額がばらつくのでしょうか。

 千代崎それは、どのような工事を行うのかという内容が、はっきりしていないことが原因だと思います。
 高架水槽の交換ですと、水槽自体と解体撤去・取り付けおよび配管と保温工事が必要だと思われます。そのほかバルブ類の交換だと思われます。
 こういった工事を最低限だけ行うのか、それともこの際だから、行っておいた方がよいと思われることはやってしまおうと考えるのかで、随分と差が出てきます。
 高架水槽の大きさは見積もりを見れば分かると思いますので、比べてみてください。太陽に当たる個所ですので、これから交換するのであれば、水槽の壁が二層になっている構造のものにしてください。断熱効果があります。一層よりは水温が一定に保てますので、夏は冷たく、冬は温かい水が供給されることになります。
 見積書の内容が、もし同じようなものであれば、最初の一番高い見積もりは「競争がない」と判断した結果と考えるのが自然ですし、後の二通は得手、不得手も含んだバラツキと考えていいのではないかと思います。
 工事の内容を記したものを「仕様書」といいますが、これを作って同じ条件で断水時の対応も含めた見積もりで比べないと意味がありません。
 また、工事の保証も実際の費用の一部ですので、保証の期間や内容を同じもので見積もらせることが必要です。
 自主管理ということであれば、近所で信頼できる施工会社を確保しておくことも努力しておいた方がよいと思います。
 以上のことを管理組合で行うのはなかなか大変だと思います。必要なことをお話ししましたが、今までに聞いたことがないということであれば、費用がかかっても工事のコンサルタントをできる人に依頼して、助力をしてもらった方がよいと思います。


(2001月17日)



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