廊下を道路がわりに使用/オートロックにかえたい

回答者 一級建築士・三浦史郎さん


 傾斜地に建つ築21年32戸の4階建てマンションです。入り口が二つあり、3階部分の裏口は裏通りに接し、1階の正面玄関は表通りに面しています。この裏口から表通りへとマンションの中を近道として通り抜ける近隣の人が多くて困っています。廊下が道路のように使われ、ゴミやたばこの吸い殻が捨てられていることもあります。理事会でオートロックにしたらどうかと話が出ているのですが、可能でしょうか。(千葉県・W生)


 三浦 可能かどうか、技術的にはマンションの形状や電気の配線配管状態を見ないと分かりませんが、全く不可能ということはないと思います。裏口と表の共用玄関(エントランス)に扉は付いていますね。

 ──はい。ガラスドアが2枚ずつ付いていますが、しょっちゅう開いている状態なので猫も入ってきて、ふんがあったりもします。

 三浦 まず、その扉のドアクローザー(開いたドアを自動的に閉める装置)を機能させることですね。次に、猫は論外として、関係者以外の人が勝手に出入りできないようにするという意味で、施錠が考えられます。
 マンションの一般的なオートロックシステムは、共用玄関で来訪者が訪ねたい住戸先の人とインターホンで対応し、住戸先が解錠するというものです。
 この場合、各住戸のインターホンと新たに設ける集合玄関機との配線が必要です。この方式でないと、来訪者から電話で呼び出してもらい、エントランスまで下りて解錠しないといけません。
 あなたのマンションの場合、裏口と表玄関をオートロックにすることになりますが、防犯上の安全の点では、ほとんど役に立たないと考えた方がいいでしょう。やはり一番の安全対策はマンション内のコミュニケーションを活発にし、不審者が入りにくい状況をつくることです。
 なお郵便や新聞のほか外部からの大事な情報も確保する必要がありますから、オートドアは集合郵便受けの内側に設けることです。

 ──設置費用はどのくらいですか。

 三浦 ドアを電気錠で開閉できるようにする工事そのものは1カ所40〜50万円程度と思います。しかし、集合玄関機と各住戸のインターホンをつなぐ配線・配管や、時に電気容量の変更を伴うこともあり、こうした電気工事はマンションの状況で大きく違います。既存の電話配管を使える場合もまれにありますが、廊下の天井を露出配管で引き直さなければならないことも多く、この費用の方が多くなると思います。
 業者に見積もってもらうとよいでしょう。その際、各業者でシステムに特徴があるので建築・電気の専門家に相談して、どの方式が適しているか見てもらうことをお勧めします。

(「しんぶん赤旗」2004年01月19日)



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