居住者名簿作る規約改正/プライバシーどう考える

回答者 弁護士・中村宏さん


 74戸の住居専用マンション管理組合の理事です。築24年で居住者の多くが入れ代わり、誰が住んでいるのか分からない状況です。そのために管理組合総会では、私が提案して各戸ごとの居住者名簿を作るように規約改正をすることを決めました。ただプライバシーの問題もあって、この決定がよかったのか心配です。(東京都・K生)


 中村 規約ではどうなっていますか。

 ──規約には名簿についての規定はないので、年内に改正案を作る予定です。

 中村 入居時からなかったのですか。

 ──かつては事業主から管理会社が得た区分所有者、住所、電話番号の名簿を入手していました。しかし、その後管理組合に提出を拒否するので名簿の更新ができないし、賃借人も増え、誰が住んでいるのか分からないのはおかしいと思って…。

 中村 区分所有者の管理組合への届け出については、管理組合法人の場合は、区分所有法47条7項による民法51条の準用で、財産目録と社員名簿(区分所有者の名簿と読み替え)の作成などが義務付けられています。
 また標準管理規約でも区分所有者(34条)と専有部分の貸与(19条)で届け出を明記されています。
 もともと管理組合には建物を管理する責任があり、その範囲で居住者の安全確保、非常時に対応するためということで、名簿を保持していることが必要ですから、法人になっていなくても名簿を持つのは当然です。
 それは、?総会を開催するにも誰が区分所有者なのかを確認するためにも、?滞納になった管理費や修繕積立金の請求先を知るためにも、?非常事態が起きた際に家族の誰に連絡するか、などのために備えておくものです。

 ──その名簿にはどこまで載せれば?

 中村 作成する名簿の項目には、住所、区分所有者、自宅の電話番号、勤務先と非常時の連絡先が必要でしょう。

 ──電話番号を含む名簿の作成には疑問がいろいろ出ています。理事会で検討し、居住者名簿は、厳格を期して理事長の保管にしたいと考えています。

 中村 規約には管理組合が居住者名簿を保管することを定め、それは正当な目的以外には使用しないという態度をはっきりさせれば、特段の問題は起きないと思います。
 名簿の保管は家族のプライバシーの問題にかかわりますので慎重にしなければなりません。

(「しんぶん赤旗」2004年8月22日)



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