防犯対策がない分譲団地/どのように立案すれば?

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


 マンションに空き巣が入った話や、その手口がテレビで報道されています。入居後30年たっている分譲団地ですが、管理組合としては対策を持っていません。防犯計画をどのように作ればよいでしょうか。(埼玉県・C生)

◇  ◇

 千代崎 防犯の第1は、住民の日ごろの結びつきがどれほどあるかによって決まります。何か気掛かりなことがあれば、近所同士で声を掛け合い、注意を喚起し合うことが大切です。

 住民間の交流が活発に行われるような催しや企画を、管理組合などが立てるのも1つの方法です。

 ──私の所は誰もが自由に出入りする昔の方式です。

 千代崎 それは住民にとってよいことですよ。自由に出入りでき、犯罪も火事もないのが「一番よい」と確認しておくのが大切です。
 マンションには、管理人がチェックしている所や、オートロック方式の所もあり、防犯カメラの設置が始まっている所もあります。現在はさまざまな防犯の設備・用具があります。こうした機器に頼って防ごうとするだけではなくて、住民が機器を効率的に使うことが求められますね。

 ──進めるのは誰で、何から始めれば。

 千代崎 全住民に関係するので基本は管理組合です。その際、区分所有法や管理規約などをよく読み理解しておく必要があります。
 そして次のような手順で進めたらいかがでしょうか。
 (1)アンケートで住民の不安や不便に感じていること、被害にあった経験などを調査します。なるべく実名で、実態をつかむのです。
 (2)アンケートを集計し、分析したものを基に、住民に呼び掛けて現地調査や研究会を行って、現状をみんなの認識にします。
 (3)取り締まりの観点だけでは、防犯はうまくいきません。対策の検討には、防犯と設備機器、建物の知識、建物と防犯及びコミュニティーの関係についての知識が必要です。住民の力だけでなく、専門家の力がいるかもしれません。
 (4)対策に必要な費用や手続き等も考えないと具体化できません。共用部の変更は規約にのっとった手続きをしなくてはなりません。
 防犯用カメラについては、誰が見ているのかや、記録したテープの保存、再生、公開などの取り扱いをルール化することで「防犯とプライバシー保護」の両方を考えておかなくてはなりません。

 ──結構、手間が掛かりますね。

 千代崎 生活全体にかかわってくることなので、これらは必要なことと思います。
 参考になる本などを読み合うのもいいでしょう。いずれにしても対策案はよく話し合ってください。

(「しんぶん赤旗」2004年4月21日付)



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