賃貸で住む家族の騒音でうつ病気味。何か方策は

回答者 一級建築士 三浦史郎さん 弁護士 榎本武光さん


築十八年の六階建て分譲マンションの一階に夫婦で住んでいます。二階に賃貸で住んでいるお宅に小学校三年を頭に三人の男の子がいます。ジャンプしたり走り回る音がひどくて大変困っています。どうしたらよいでしょうか。(愛知県・M生)

◇    ◇

 榎本 二階の子どもの音というのはどんなものですか。

 ――ジャンプしたり走り回る音がドスンドスンひどいのです。
私はその方が入居して間もなく、業者に頼んで天井に防音工事をしてもらいました。確かに子どもがけんかをする声は聞こえなくなりましたが、暴れる音は変わりません。
 日中は子ども達が学校や保育園に行っているので静かですが、夕方から夜十時過ぎまで響きます。一度その方に「静かにしてください」と言ったら「高い家賃払っているんだから、文句があったら大家に言え」と怒鳴られました。

 榎本 大家さんに話しましたか。

 ――大家さんに二、三度電話して「じゅうたんくらい敷いてほしい」と話すと「子どもがいて食べ物をこぼすから」と言って取り合ってくれません。頭の上で雷が鳴るようで、私はうつ病になりかかっています。

 三浦 天井に防音をされたそうですが、どんな工事でしたか。

 ――綿のようなものを入れて十センチほど天井が下がりました。

 三浦 二階の床はどんな仕上げになっているか分かりますか。

 ――一階と同じで、厚さ二センチくらいのフローリングがコンクリートの上にじか張りされてます。

 三浦 十八年前だとじか張りもそんなに性能のよいものは普及していなかったと思います。
 工事で天井に入れた綿のようなものは、ロックウールかグラスウールだと思いますが、上階床から放出される音を和らげる効果が出て高い声が聞こえにくくなったのでしょう。
 ドスンドスンという音は固体伝搬音といって、コンクリート本体から伝わってくる音で、これを低減するには浮き床という工法が有効です。
 技術的には相当低減できますが、二階のお宅の床下に工事をする必要があり、家主と二階の人の了解がないとできません。
 また管理組合に対して遮音性能の基準を設けるように、働きかけることを考えてはいかがでしょう。

 榎本 技術的には今の話のようにやろうと思えば衝撃音を小さくできると思います。
 あなたの方は二階に住んでいる人と家主を相手に簡易裁判所に調停の申し立てをして、調停委員の方から家主と二階の方に改善策をとるように説得してもらうことです。

(「しんぶん赤旗」2003年05月14日10日)



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