20年たち規約改めたいがどんな点に注意が必要?

答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


 十戸のマンションの理事長をしています。入居以来二十年間、新築時に分譲会社が作成した規約を使ってきましたが、いま規約を新しくしようという意見が出て検討しているところです。
 それはマンション内で起きる雨漏りや水道管からの水漏れなどに対する修理も、規約で決めていないために、その都度対応がまちまちになっているからです。
 しかし、なかには「これだけの所帯なのだから難しい規約はいらない」という人もいます。この人たちにも規約の必要性を分かってもらい、新たに作る際にはどうしたらよいでしょうか。(埼玉県・C子)

  ◇    ◇

 千代崎 すでに暮らしている中で規約を新しく変更するのは、それによって損をしてしまったり、既得している利益を失う人が出てきたりするのでなかなか大変です。
 もともと規約とは、立場が変わっても認められるという「公平さ」が求められます。
 しかし、分譲のどさくさに不公平な規約を認めさせられて、後で困っている場合も多くあります。
 とくにかなり古い時期の分譲マンションの管理規約には、区分所有ではなく一オーナーの賃貸アパート用のものや、賃貸人の自治会規約とほとんど変わらないものがあります。
 なかにはマンションのデベロッパー(不動産業者)が元の地主に「規約が不公平でも認めさせてしまえば大丈夫」といって、だましている例もあります。
 小さなマンションでも持ち上がる問題は、大きなマンションと同じです。その問題をいつでも同じように対応できるようにするためには、ちゃんとした規約が必要です。

 ――規約を改めるにはどのようにすればよいですか。

 千代崎 まずは今の規約で不合理な個所を出し合い、新しい規約の必要性を考えてみることです。
 次に国土交通省が作っている「標準管理規約」がありますので入手して、全区分所有者に配布します。これで新しく作ろうとしている規約が特殊なものではなく、国が標準として定めているものに準じていることを理解してもらえます。
 その「標準管理規約」と今までの規約とを比較しながら、お住まいのマンションに合致するようにマンションの名称や住所や敷地面積、共用部分と専有部分などを明示した形で修正します。
 規約は大切なものですから、多くの人の協力を得ながら、そのマンションに合った充実した内容にしていくことです。
 分からないような語句や解釈がないように学習していくことも大切です。横浜市では小規模マンション対応型モデル規約を作っていますので参考になります。

(「しんぶん赤旗」2003年04月16日 10日)



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