施工の不備で修理したが慰謝料の請求できますか

回答者 弁護士 榎本武光さん


 70戸のマンションで築3カ月なのに、サッシの取り付け不備から雨漏り被害が出たので、施工業者に修理してもらいました。その間の損害賠償というか慰謝料は請求できるのでしょうか。業者はちゃんと修理したと言い迷惑料5万円を補償すると。それが常識なのですか。 (東京都・N生)

榎本 迷惑料とは。

――施工業者が、こういう場合は迷惑料5万円を払うことになっていると払ってくれたのです。

榎本 被害は。

――雨漏りで部屋の畳がぬれました。畳を全部取り換えてくれ、修理には問題はないのですが。

榎本 売買の場合、欠陥、瑕疵(かし)が見つかったときには、その欠陥が重大な場合には契約を解除して損害賠償を請求することになります。あなたのような場合はそれほどではないので、欠陥、瑕疵を直す補修が第一義的に行われるのが普通です。もちろん補修にかえて、金銭での損害賠償を求めることも可能です。

――新築なのに施工ミスで被害が出たのです。せっかく高いお金を出してやっと手に入れたマンションなのです。この精神的ショックへの慰謝料はないのですか。

榎本 あなたの場合、補修することで解決したので、それが損害賠償がなされたことと同じになります。瑕疵や欠陥に補修というサービスで対処したということです。

 一般的に慰謝料というのは生命、身体、自由の被害に対するもので、物の損害とは分野が違います。精神的ショックは確かに受けたことと思いますが、通常、物についての重大でない瑕疵、欠陥の場合には慰謝料は発生しないとされています

 売り主としては、買い主に仕事を休んで修理に立ち会ってもらったので法的な義務はともかく、迷惑料を払ったのだと思います。中には、現金ではなく商品券を渡す業者もいるようです。

(「しんぶん赤旗」2004年10月17日)



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