■「マンション耐震強度偽装事件」

2005年12月4日(日)「しんぶん赤旗」


「どこに転居すれば」「説明ない」

入居者ら困惑と憤り

耐震偽装、船橋で現地調査 住民団体と共産党


 マンション耐震強度偽装事件で、マンション五棟の偽装が発覚した千葉県船橋市の住民団体と地元の日本共産党は三日、現地を訪れ、マンション居住者や周辺住民から要望を聞きました。

 調査したのは、同市本町を中心に活動するNPO法人「百歳まで安心して買い物できるまちづくりの会」(津賀俊六代表)の人たちと、日本共産党の石川敏宏市議と地元党支部の人たち、党南関東ブロック千葉事務所の西沢昭裕所長ら。

 一行は、偽装物件五棟のうち、本町に所在する「本町三丁目ビル」(建築主・サン中央ホーム、九階建て五十九戸)と「セントレジアス船橋」(同ヒューザー、十一階建て三十六戸、工事停止中)を調査。いずれも必要な耐震強度の39%し

かないとされた建物です。

 本町三丁目ビルの入居者に対し、市は十二月中旬までの退去を要請していますが、「まだ出ていく人は少ない」(管理人)のが現状。孫娘が入居しているという女性(77)は、「退去しろと言われても、行く先は簡単にはみつかりません」と困惑した表情で語りました。

 倒壊の巻き添えを心配する周辺住民の声も切実でした。

 本町三丁目ビルの隣に住む中村和子さん(57)は「私たちは転居すらできず、いつ地震がくるか心配」と話し、理容店を営む富松政夫さん(54)は「早く取り壊してほしいが、市の説明会では見通しがはっきりしない」と情報不足を訴えました。

 セントレジアス船橋の向かいに住む渡辺彰子さん(64)は、引っ越してまだ一年。「地震がきたら逃げられるようシャッターは開けて寝ます。しかし、業者や市から何の説明もなく、建設途中ということで最後まで解体が残されたらたまりません」

 「まちづくりの会」副代表で一級建築士の松山龍夫さんは「今回の偽装事件は、安心・安全のまちづくりのうえで重大問題です。しかも、まだ危険な建物の存在を知らない近隣住民がいたことは深刻です」と指摘しました。

 石川市議は「情報提供の不足が明らかになりました。市は一回の説明会で終わりにせず、専門の相談窓口を設置し、転居先の相談や近隣住民の不安に答えるなどていねいな対応が必要です」とのべ、党市議団として市に要望していく考えを示しました。



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