分譲マンション管理問題での日本共産党の活動と実績

党団地・マンション対策チーム

2003.05


 ここ数年、マンション管理問題にかんする国・地方行政に大きな変化がありました。まず国政では、この間、マンションに関係する三つの法律の制定と改定がありました。「マンション管理適正化法」(二〇〇一年一月施行)、「マンション建て替え円滑化法」(二〇〇二年十二月施行)、「建物区分所有法等改正」(二〇〇三年六月施行)がそれです。

 これらの法制定・改定にもとづいて、地方自治体でも、マンション相談窓口の設置や実態調査、広報活動など端著ではありますが、マンション問題を行政のそ上に載せる自治体も出始めました。

 日本共産党は、これまでマンション住民のさまざまの要求や悩みの相談にのり、その解決のためにとりくんできました。欠陥マンションや大規模修繕、耐震相談、騒音やマンション共用部分の固定資産税課税の軽減など、その内容は多様なものとなっています。そして、これらの要求、相談を重視し、マンション住民や管理組合と協力し、一定の改善をおこなわせてきました。
 また、党国会議員団のマンション対策チームも、東京をはじめ、北海道、愛知、大阪、福岡で、マンション管理組合役員、居住者などと懇談を重ね、そのさい出された声や要望を国政、地方政治に反映させてきました。

 日本共産党は、これらのとりくみや実績を把握するため、昨年来、地方党機関の協力を得て調査をおこないました。

 このような調査は、過去二回おこなわれました。その調査結果にもとづき、「マンション住民とマンション問題にとりくむ日本共産党」(一九九〇年から九二年の実績について、九三年二月、「赤旗」評論特集版九三年二月八日号)および、「分譲マンション問題解決にとりくむ日本共産党……マンション住民・管理組合と協力して」(九二年十月から九五年末までの実績について、九六年四月、?赤旗」評論特集版九六年四月二十九日号)を発表しました。さらに、マンション管理組合や住民むけに、「よりよいマンションライフのために」(「赤旗」評論特集版九五年三月二十九日号)を発表しました。

 これらの成果は、多くの地方議員や団地・マンション問題にとりくむ人びとに活用され、各種の選挙や運動にも役立つとともに、多くのマンション住民にも好評を博しました。
 マンション管理を中心とした問題は、現在の焦眉の課題となっています。今回の調査でも、全国各地でマンション居住、生活をめぐるさまざまな問題にとりくんだ内容が多彩かつ豊富にあげられましたが、管理問題を中心にその実績をまとめました。

 1 国会でのとりくみ

 上記の三つの法制定・改定をめぐる国会審議のなかで、日本共産党国会議員団が質問で取り上げた論点と、その実績を紹介します。

 [マンション管理適正化法]

 この法律は、
 ・マンション管理士制度をつくる。管理士は、管理組合の相談に応じ、助言・指導をおこなう
 ・マンション管理業登録制度をつくる
 ・管理適正化指針をつくる
 などを内容としています。
 日本共産党は、同法案には、問題点を指摘し、賛成しました。

 ●マンション管理の主体は管理業者でなく管理組合であることを指摘。国土交通省はそれを確認しました。

 「マンション管理適正化指針」について、発表前に原案をしめし、管理組合の意見を聞くべきだと要求しました。?指針(案)」は、パブリットコメントで公表され、意見が集約されました。

 ●管理会社の従業員がマンション管理士の資格をとり「管理者」になることが予想されることを指摘し、そうなると管理会社本位に管理がおこなわれ、管理組合に不利益をもたらさないかと質問でただしました。法提案者は、この問題について、?好ましいことではないので、違法行為があれば本法にもとづく判断をする」と答えました。

[マンション建て替え円滑化法]

 この法律は、
 ・マンション建て替えのさいに、住民による「建て替え組合」を設立できる
 ・同組合は、建て替え未参加者の権利を買い取ることができる
 ・未参加者の居住安定措置
 などを内容としています。
 日本共産党は、同法案には、建て替え促進につながる面もあるが、建て替えの制度枠組みは必要として、賛成しました。

 ●(マンション老朽化の目安として建築後三十年、四十年が法制審議会等で議論されていることにたいして)建設省建築研究所の「長期耐用都市型集合住宅の建設・再生技術の開発」による建て替え年数の国際比較では、イギリス百四十一年、アメリカ九十六年などにたいして、日本は三十年とされており、余りにも短すぎることを質問でただしました。国土交通省住宅局長は、?建設省の研究でも、新しいコンクリート建築物は六十五年の耐用年数で設計や施工することを指針としている」と答え、指摘を認めました。

 ●建物の長寿命化の法整備の必要性を要求しました。

 [区分所有法等改正]

 この法律は、
 ・マンションの建て替えについて、所有者の五分の四の多数決でおこなえる
 ・団地の一括建て替えについて、全体の五分の四の賛成があれば、棟ごとの三分の二の賛成でおこなえる
 などを内容としています。
 日本共産党は、現行法による、老朽化など「客観的要件」を残すこと、団地一括建て替え制度を削除する修正案を出し、この法案には反対しました。

 ●法制審議会の区分所有部会に、大手デベロッパー「森ビル」の社長など総合規制改革会議の委員が出席し、その結果、マンション建て替え要件を五分の四の多数決議のみとする意見となったことをあきらかにしました。

 ●マンションの集会室や通路について、すでにいくつかの自治体では固定資産税の減免をおこなっていることを紹介し、一定の条件を満たすマンション内の道路、プレイロットなどに減免措置を広げるように要求しました。扇国土交通大臣は、?最大限の配慮をしていくべき」と答えました。

 2 地方自治体、地方議会でのとりくみ

 国政の動きと軌を一にして、地方自治体や地方議会でもマンション問題が積極的にとりくまれました。また、電力会社などへの要望、交渉がおこなわれました。その主な内容はつぎのとおりです。

 1 相談窓口の設置など

 東京都など一部を除いて、マンション管理組合や住民がマンション問題について相談する窓口が設置されていません。日本共産党の窓口設置要求は、全国に広がりつつあります。

  • 札幌市では、二〇〇二年度から設置
  • 東京都では、相談窓口の開設とともに、維持・管理ガイドブックの作成・普及(九八年度)
  • 東京・板橋区では、相談窓口の設置、管理組合・居住者の交流機会を検討、長期修繕計画作成及び建物劣化診断の助成などの検討
  • 横浜市では、行政区ごとに「マンション相談」が受けられることに

 そのほか、千葉・千葉市、市川市、我孫子市、東京・町田市、愛知・岡崎市、安城市、知立市、刈谷市、兵庫県、岡山市、京都市、大阪市(マンション支援管理機構の設置)などに、相談窓口が設置されました。しかし、建築課や住宅課が兼任するなど、今後改善する余地もあります。 

 2 マンション実態調査の実施

 マンション問題の解決を図るうえでは、行政がマンションの戸数をはじめとする実態を把握することが重要です。この点でも、日本共産党の要求で多くの地方自治体で実態調査がおこなわれました。

☆東京・板橋区では、九八年に調査を開始し、九九年に「マンション実態調査報告書」を発表
 ☆東京都では、九八年十月に調査を実施、区市にたいし実態調査費助成を実施(九九年度より)

 そのほか、東京・町田市、千葉・船橋市、松戸市、柏市、愛知・知立市、京都市、大阪府・堺市などで実施されました。

 3 固定資産税などの減免

  • 東京・町田市では、集会室などの固定資産税の減免制度の拡充
  • 千葉・沼南町では、共同で利用するゴミ置き場専用土地、十戸以上で共用する管理棟などに固定資産税の減免
  • 厚木市では、集会所の土地の固定資産税が減免
  • 岡崎市では、集会所のほかに原則百五十平方メートル以上、遊具三点以上あれば児童公園に準じるものとして固定資産税を減免
  • 大阪市では、プレイロット、集会所の固定資産税を減免
  • 大阪・吹田市では、公共的性格を持つ通路、ゴミ集積所、集会所・室、プレイロットの固定資産税を減税
  • 柏市では、管理事務所の固定資産税を減免

 4 バリアフリー、リフォーム、耐震診断 

  • 東京・江東区では、介護保険の住宅改修制度でバリアフリー化に助成
  • 東京・板橋区では、耐震助成制度、階段手すり設置および段差解消助成を実現
  • 千葉市では、共用部分のバリアフリー化にたいする利子補給制度を充実
  • 浦安市では、共用部分バリアフリー化を実現(費用の二分の一、戸数に一万円を乗じた額が限度額)
  • 千葉・松戸市では、自治会として集会所を所有する場合の新増改築補助を実現
  • 横浜市では、耐震診断を実施(八一年五月以降に建築されたマンション)
  • 兵庫・明石市では、住宅リフォーム助成制度、マンション(専有部分)も対象に
  • 仙台市では、共用部分のバリアフリー助成の適用を拡充

 5 水道、電力などライフライン対策

  • 仙台市では、水道メーターの無償交換を実現
  • 大阪・河内長野市、枚方市では、公費負担による水道メーターの取り替えを実現
  • 岡山市では、水道の直結増圧給水方式を実現(十階程度まで)
  • 大阪市では、変電室の利用料金の一部を電力会社から管理組合に払わせた
  • 東京・江東区では、変電室を小型化し、跡地を集会室にという要求を実現
  • 横浜市では、変電室の塗装費用を電力会社に一部負担させた
  • 福岡県では、団地内道路に敷設しているガス管の交換を、西部ガス会社負担でおこなわせた



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