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"寝耳に水"の条例案

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日本共産党大阪府委員会主催の「子どもの成長と教育を語り合う懇談会」=5月19日、大阪市西区

 橋下徹代表率いる「大阪維新の会」の教育への政治介入を府レベルで条例化したのが、「府教育行政基本条例」「府立学校条例」です(3月23日成立)。

 この二つの条例の原型となったのが、2011年9月に「維新」が府議会に提出した「教育基本条例案」。橋下氏は国政公約「維新八策」の原案で、この条例を「さらに発展」させると明記しています。

 条例の成立を機に府教育委員長を辞した生野照子医師(69)はこう明かします。

 「昨年8月、突然、条例案がメールで教育委員のもとに送られてきたんです。寝耳に水とはこのことかと。中身をみると、知事による教育目標の設定とか、現行法令からはみ出たり現場に合わないことが多い。教育委員はみんな、えらいことだと思いましたね」

政府も「違法」

 日本共産党府議団は当初から、「憲法と相いれない」「提出すべきでない」と抗議。教職員組合の批判はもちろん、9月には大阪弁護士会会長や日本ペンクラブが声明を発表するなど反対の声は日に日に広がり、10月19日には府立高等学校PTA協議会役員も撤廃などを求める嘆願書を提出しました。生野さんたちも同25日に、5人の教育委員の連名で白紙撤回を求める見解を公表します。

 11月のダブル選(大阪府知事・市長選挙)では条例案の危険な中身に口を閉ざした「維新」が勝利したものの、文部科学省からも"首長が教育目標を設定したら違法"と指摘されるにいたり、「維新」側も条例案の手直しを余儀なくされます。

 その後も制定反対の府民集会が中之島公会堂で繰り返され、全国の著名10氏も選挙中に続き反対声明を発表。2条例反対大阪連絡会の署名は23万人を超えるなどたたかいが広がりました。

 成立した教育関連条例では、知事による「教育目標」の設定規定が「教育振興基本計画」の作成規定に変更されましたが、知事が「計画」に「教育目標」を盛り込めば結果は同じ。法が禁じた露骨な政治介入となります。教職員への管理統制や競争教育の強化という点でも本質的に当初案と変わっていません。

共産党の提案

 日本共産党大阪府委員会は4月17日に発表した「教育改革提言」で、「教育振興基本計画」を少人数学級、学校耐震化など教育条件整備の計画とさせて、教育目標や教育内容に介入しないものにさせようと提案。条例撤廃を求めるとともに、大阪の教育をよくするために必要な正規教員増や教育委員の公選など積極的な提言を行いました。

 5月19日、大阪市内で開かれた「提言」懇談会では、参加者から「『教育の主人公は子どもたち』という視点は非常に良い」「大阪に降りかかった火の粉のように見えるけれども、全国でも先端のたたかいになるのでは」との感想が寄せられました。条例の具体化を許さないたたかいはすでに始まっています。

(つづく)

(「赤旗」2012年6月27日付)

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