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大阪府議会は維新、自民、公明、みんなの党などの賛成多数で職員基本条例案を可決=3月23日、本会議

「決める政治」を礼賛

 「野田首相はすごい。確実に『決める政治』をされている」―。大阪市の橋下徹市長は7月10日の記者会見で、消費税増税法案をめぐる野田佳彦首相の政権運営について、こう手放しで礼賛しました。

発言の狙いは

 これまでの政権批判の姿勢から評価を一転させた真意はなにか。会見では「(国会議員で)考え方が近い人が再編することを期待する」とも表明。「将来の政界再編を見据え、自民や民主との連携も視野に入れた発言」(「毎日」大阪夕刊同10日付)と指摘されました。

 「あの発言には、もう一つの大きな狙いがある」。大阪の政財界に幅広い人脈を持つ報道機関幹部は、こう解説します。「『決める政治』がキーワードだ。首相を持ち上げることで、自分がさらに決断力のある政治家だと強調できる。国政進出を意識する橋下市長だが、原発再稼働を容認したことで、政治姿勢に批判が高まった。これを払拭して国会を目指すために『決める政治家』をアピールしようともくろんでいる」

 この発言から一月ほど前の6月15日、消費税増税に向けた法案の修正協議で民主、自民、公明3党が合意。全国紙は翌日付の社説で「『決める政治』の一歩」(「毎日」)、「『決められない政治』を脱する契機」などと評価しました。増税推進の大手メディアも「決める政治」賛美の大合唱になっているのです。

 「日本の政治で一番重要なのは独裁」と公言する橋下市長。民主主義とは無縁の態度ですが、テレビや新聞の一部は「リーダーシップがある」「決断力が優れている」ともてはやしています。

民意とは無縁

 しかし肝心なのは「決める政治」の中身です。橋下市長が持ち上げた野田首相の消費税増税推進は、国民から怒りをかい、首相自身が「国論が二分している」と認めざるをえない状況です。

 大阪で橋下市長が推し進めていることも同様です。教育基本条例、職員基本条例、大阪市職員の政治活動禁止条例など民主主義を踏みにじる恐怖政治。市営地下鉄・バスの敬老パス一部有料化など福祉や暮らしの切り捨て…。すべてが庶民いじめの施策ばかりです。

 橋下市長が率いる大阪維新の会のある議員も本音をもらします。「われわれは橋下さんの政治家としての決断力に魅力を感じてついていった。いまでも統率力はすごいと思っている。しかし施策をすすめるたびに、敬老パス問題などで地元の支持者に苦情をいわれることが増えて頭が痛い」

 元朝日新聞大阪本社編集局長の新妻義輔さんは、橋下市長の政治手法を検証するシンポジウム(日本ジャーナリスト会議主催)で、「橋下流の『民意』は本当の民意とは無縁だ」と批判して、こう指摘しました。

 「橋下氏が『決定できる民主主義』などと強調するのは、議論を尽くすことよりも反対意見を切り捨てて多数決に大きな比重を置きたいから。結局、自民党政権時代から国会で使い古された『数の横暴』を『決定できる民主主義』と目新しい言葉で言い換えたにすぎない」(つづく)

(2012年08月15日付)

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