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私と 「赤旗」「侵略」と明記する新聞

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 ほんだ・かついち 信州・伊那谷生まれ。ジャーナリスト。朝日新聞編集委員をへて現在「週刊金曜日」編集委員。著書『本多勝一の戦争論』『南京大虐殺』『北洋独航船』『アイヌ民族』『日本語の作文技術』ほか多数。

ジャーナリスト 本多勝一さん

 「赤旗」とのおつきあいは、あまりにも昔で、はっきりしませんが、朝日新聞におったころ、会社にある「赤旗」を読んでいましたね。一般紙が扱わない重要なニュースが多いので、定年のずっと前から日刊紙と日曜版の購読をはじめました。切り抜きの数は「朝日」や東京新聞より多く、今年も正月から長い連載を切り抜きました。

 私は1931年、「満州事変」の年の生まれで、直接的な戦争体験はわずかです。南京陥落の旗行列に加わったり、召集された兵士の壮行会で「出征兵士を送る歌」の類などを歌わせられたりしたことを覚えています。旧制中学2年生の4月、愛知県の豊川海軍工廠が疎開してきて、私たちの中学校の校舎全部が軍需工場になってしまいました。私は穴を開けるボール盤の工員です。中央アルプスの南駒ケ岳上空で空中戦があり、弾丸が農家の屋根を貫き、たらいの水に入れられたその弾丸を見にいったことがあります。

 私個人がベトナム戦争や南京大虐殺を取材するに至ったのは、「カナダ=エスキモー」など「極限の民族」シリーズを取材するなかで「ジャーナリスト」本来の役割に目覚めたからです。そのころはベトナム戦争がひどくなりつつありました。ルポ「戦場の村」の評判がよかったので、ジャーナリストとしての仕事をやれるようになったわけですね。その結果、「じゃあ日本軍は何をやったんだろう」と中国へ行き(『中国の旅』)、アメリカ兵の故国も取材しました(『アメリカ合州国』)。
 最近の一般紙を見ると、体制権力の監視役の役割をあまり果たしていません。今年はアメリカのアフガニスタン侵略から10年。イラクも含めて「侵略」と明記している新聞は政党機関紙とはいえ「赤旗」のみです。アメリカの侵略であることは明明白白なのに、一般紙は「侵略」という言葉を使わない。これは一般紙のダメさ加減の象徴であり、アメリカの「属国」ぶりの象徴ですね。

 アメリカによるイラクやアフガニスタン侵略の実態を見ると、ベトナムほどはっきりした敗北ではなくても、国内矛盾を侵略でごまかせなくなってきていると思います。ジャーナリズムも巨視的に侵略をとらえることが求められているのではないでしょうか。(聞き手 松田繁郎)

(「しんぶん赤旗」2011年1月31日付)


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