2007年1月17日(水)「しんぶん赤旗」

主張

東アジア首脳会議

前進する平和の地域共同体


 東南アジア諸国連合(ASEAN、十カ国)プラス日中韓の首脳会議(ASEAN+3)に続いて、インド、オーストラリア、ニュージーランドも加わった第二回東アジア首脳会議が開催され、新しい枠組みが具体的な一歩を踏み出しました。両々あいまって、平和と共存の東アジア共同体に向けた協力を強めることが期待されます。

協力の重層的枠組み

 東アジア共同体への努力は、社会体制、民族、宗教、文化、経済発展などがきわめて多様な、世界人口の半数を擁する地域で、域内貿易が五割を超えるなど相互依存を強め、成長が世界で最も著しいなかでのとりくみです。その特徴は、重層的な枠組みで知恵と経験を集積し、一歩一歩合意を図りながら前進していることです。

 ASEAN+3は、十年来の積み重ねのうえに、多分野の経済協力拡大、「チェンマイ・イニシアチブ」による通貨スワップ(交換)や「アジア債券市場」構想を進めています。災害や鳥インフルエンザなどへの対策でも協力を強めています。

 東アジア首脳会議は今回、エネルギー安全保障での協力を宣言するとともに、経済協力の方途を検討しました。北朝鮮の核実験に対しても「重大な懸念」を表明し、「拉致問題など国際社会の安全保障上、人道上の懸念」に応えるよう求める議長声明を発表しました。

 こうした東アジア協力の「推進力」が、四十年の歴史をもつASEANです。ふたつの首脳会議に先立って開かれたASEAN首脳会議は、「ASEAN+3が東アジア共同体実現に向けた主たる手段であることを再確認」し、ASEAN自身の共同体を、二〇一五年までにつくりあげると決めました。これまでの予定を五年繰り上げ、政治・安全保障、経済、文化・社会の三分野で「いたわりと分かち合いの共同体」へ地域統合を進めることにしたものです。

 先行するASEANのイニシアチブをもとに、ASEAN+3の実績を生かしつつ、東アジア首脳会議で議論して進む関係です。

 東アジア首脳会議は、「共同体創設」にむけ「既存の地域機構を補完する」(同議長声明)ことになっています。今回、エネルギー協力を中心テーマにしたのは、欧州統合のはじまりがエネルギー協力だった経験を参考にしたともとれますが、そこには、多くの国が大国の支配、圧力に抗して独立、発展してきたアジアならではの知恵が働いています。

 なかでも大事なのは、東南アジア友好協力条約を東アジア協力の土台にすえていることです。

 東アジア共同体への努力は、国連憲章にもとづき、軍事同盟によらない新しい平和の国際秩序づくりに向かっています。

「戦争のないアジア」を

 日本共産党の志位和夫委員長は昨年九月、ソウルでの第四回アジア政党国際会議で、「アジア各地に形成されつつある共同体は、国連憲章にもとづく平和秩序、各国の主権の尊重と内政不干渉、紛争の平和的解決、公正で民主的な国際経済秩序、異なる社会体制や文明間の対話と共存などを、共通の立場として掲げ」「これらの方向にこそ、アジア諸国民の平和、友好、進歩、繁栄を保障する大道がある」と強調しました。

 平和のアジア共同体を実現し、二十一世紀を「戦争のないアジア」とするために、アジアの人々と力をあわせることが求められています。


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