2007年1月5日(金)「しんぶん赤旗」

主張

憲法施行60年

守り、生かす。主役は国民


 日本国憲法の施行(一九四七年五月三日)から六十年を迎えました。

 安倍晋三首相は、今月末からはじまる通常国会で改憲手続き法案の成立を期すといい、「私の内閣として改正を目指したいというのは当然、参院選でも訴えていきたい」(四日、年頭会見)と、改憲を夏の参院選の争点にすえる考えを示しました。

「改悪」でしかない

 憲法はすべての法律と生活の基本です。六十年前に施行された日本国憲法は、国民主権、基本的人権、平和主義、議会制民主主義、地方自治の五つの原則を掲げています。いま必要なのはこの原則を、日本社会の隅々にまでゆきわたらせることです。現実がそうなっていないのに憲法を変えようとするのは、憲法の理想を踏み破る「改悪」でしかありません。

 たとえば、いま日本社会に著しい貧困の広がりが起きています。生活保護受給世帯は百万を超え、国の指導と自治体の冷たい対応で保護を受けられずに自殺する悲劇も各地で相次いでいます。憲法二五条「生存権、国の社会的使命」が空洞化している証明です。

 働いても生活保護基準以下の収入しか得られないワーキングプアが増え続けています。働く者を使い捨てにする財界の横暴勝手とこれを後押しする国の悪政の結果です。憲法二七条「勤労の権利、勤労条件の基準」が生かされない状況は一刻も放置できません。

 人間らしく働くことのできる社会的ルールを求めて、力強いたたかいが広がっています。これを大本で支える力が憲法二八条「勤労者の団結権」であることも見逃せません。

 昨年、教育基本法が改悪されました。「愛国心」の強制で憲法一九条「思想及び良心の自由」を侵し、国家権力の教育内容への無制限の介入に道を開いて、一三条「国民の幸福追求権」や二六条「教育を受ける権利」などで保障された教育の自由と自主性を蹂躙(じゅうりん)するものです。子どもたちのすこやかな成長を願う者が改悪教基法の押し付けとたたかう立脚点は、なにより憲法にあります。

 憲法の原則のなかでもとりわけないがしろにされているのは九条「戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認」です。自民党政府は解釈改憲で、自衛隊を海外に派兵するところまできました。安倍首相は九条を「時代にそぐわない」と攻撃し、自民党の改憲草案は前文から「不戦の誓い」を削り、「自衛軍」保持を明記することで、日本を「海外で戦争する国」にしようとしています。

 九条改憲の狙いは、この六十年間、自衛隊の海外での武力行使を許さなかった最大の歯止めを取り払うことです。

 改憲勢力は「憲法と日本の現実の乖離(かいり)」を改憲の理由にします。しかし、いまも力を発揮している憲法の理想に、社会の現実を近づけていく方向にこそ日本の未来はあります。

国民主権貫く党として

 戦前から侵略戦争に反対し、「国民が主人公」の国づくりを目指してきた日本共産党は、六十年前の憲法制定にさいしても「主権は人民にある」(「新憲法の骨子」)ことをはじめ主権在民、基本的人権の保障などを戦後政治の原則として掲げ、その原則を憲法に明記させるために奮闘しました。

 憲法六十年にあたり、いまこそ憲法を守り、生かしていくために、日本共産党は幅広い人たちと手をとりあい力を尽くします。憲法改悪のたくらみを阻止するたたかいの主役は、私たち主権者・国民です。


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