2007年1月4日(木)「しんぶん赤旗」

主張

07年の世界

平和と共存導く外交の出番だ


 二〇〇七年も世界は、イラクの混乱やパレスチナの紛争、北朝鮮やイランの核問題など、多くの問題をかかえて新年をむかえました。しかし、世界を見渡すと浮かび上がるのは、軍事力で一方的にカタをつけようとするやり方がゆきづまり、外交で平和的に解決しようとする努力が大きな流れになっていることです。

 二十一世紀の世界は、軍事ではなく外交が重要な意味をもつ時代であることを、あらためて確信させる新年です。

流れ作る前向きの変化

 イラクでは、アメリカの侵略と占領が悲惨な状況をもたらし、いまや米国内でも七割がブッシュ政権のイラク政策を批判しています。昨年の中間選挙で敗れ、窮地におちいったブッシュ政権は政策の見直しを迫られています。

 北朝鮮の核問題をめぐっては、再開された六カ国協議が、年明けにもちこしになり、外交で解決しようという粘り強い努力が続いています。

 軍事ではなく外交による解決が重視されるこうした動きの背景には、世界の変化があります。今日の世界はもはや、一国が軍事力を使って思いのままに支配できる世界ではありません。

 スペイン、イタリアではアメリカのイラク侵略を支持した政権が交代し、イラクから撤兵しました。ブレア英首相も、「イラク侵攻は恐るべき誤り」(英王立国際問題研究所所長)と批判され、辞意を表明し、英軍撤退に動かざるをえません。

 世界の力関係を大きく変えているのは、とりわけアジア、アフリカ、中南米の「発展途上国」と社会主義をめざす国々の動きです。

 「新しい巨人」(英誌エコノミスト)といわれる「途上国」は、世界の国内総生産の半分以上(購買力平価)を占めるようになりました。

 ほとんどが非同盟諸国会議の加盟国です。非同盟国は昨年九月の首脳会議時に百十八となり、国連加盟国の三分の二ちかくになりました。力を合わせて、どの大国の支配にも反対し、外交による諸問題の平和的解決に活動を活発化させています。

 この流れは、昨年末の南米諸国共同体首脳会議が、社会的不平等の克服を最優先課題に「国連の原則と目的の順守」「民族自決」「紛争の平和的解決」の原則を宣言したことにも表れています。

 こうしたなかで国連の役割が積極的に見直されていることは重要です。「国連はイラク戦争をとめられなかったが、全力をつくした」とアナン前国連事務総長は昨年末の離任会見で語りました。国連憲章にもとづく世界の平和秩序は、各国が外交を主力に問題の平和的解決をはかることを大前提にしています。

 世界の変化が、各地の紛争や経済的な摩擦を、戦争ではなく外交で解決する条件を広げています。〇七年も年頭から予定されている重要な外交舞台で、前向きの解決がはかられることを期待します。

自主平和外交に力を

 アメリカのイラク侵略戦争を支持し、軍事力を強化し続ける日本政府は、世界の流れに逆らうものです。

 アメリカいいなりに「戦争する国」につき進むべきではありません。憲法を生かし、国連憲章を中心にすえた世界の平和秩序づくりを促進することにこそ、二十一世紀の日本の未来があります。

 アメリカいいなりから脱し、自主的な平和外交に思い切って舵(かじ)を切り替えることが、日本の政治に切実に求められています。


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