2006年12月30日(土)「しんぶん赤旗」

政務調査費 見直しの動きも

東京23区にみる

領収書添付 6区だけ

共産党、使途公開を要求


 カラオケバー、マイカーの車検代…、すべて税金から支出――。地方議会における、政務調査費(政調費)の使い道が問題になっています。しかし多くの自治体で支出の内容は闇の中です。本紙は、公明党などの不正支出が発覚した目黒区を含む東京二十三区について、政調費の支出報告書に領収書添付が義務付けられているか調査しました。条例で領収書の添付を義務付けていたのは六区と、少数でした。


使途を証明する証拠書類不可欠

 政調費の支出報告書に領収書添付を義務化することには重要な意義があります。実際の使途を証明する証拠書類として欠かせないからです。 本紙は政調費の実態に関し、領収書添付の有無、義務付けの議会での検討状況などについて、二十三区の議会事務局に取材しました。その結果、金額にかかわりなく、条例で領収書添付を義務付けているのは千代田区、新宿区、品川区、豊島区、練馬区、葛飾区だけでした。

 このほか、目黒区は議長の定める規程で義務付けを定めていました。中野区と足立区は、一件五万円以上の支出について義務付けています。残りの十四区については、領収書を議会に提出する義務がありませんでした。

 領収書の添付を義務付けている六区でも、そのうち原本の提出を求めているのは、千代田区と品川区だけでした。残り四区はコピーの提出です。

 議長の規程で義務付けている目黒区もコピーの添付です。同区では、公明党目黒区議団(全員辞職)による領収書偽造の疑惑など、きわめて悪質な事例が発覚しています。

 本来、地方議会は行政の不正をチェックする立場にあります。官製談合や不正支出など、地方行政のゆがみが次々と明るみに出るなか、その役割はますます重要です。しかし、政調費の領収書添付の実態を見る限り、これでは行政監視どころではありません。

 政務調査費が各自治体の条例で定められたのは二〇〇一年からの、地方自治法の一部改正の実施にともなってでした。当時、国会では内閣官房や外務省など「機密費問題」が浮上。機密費の名の下で、“せんべつ”や野党工作、選挙費用にまで税金が流用されていたことに、国民の怒りが集中していました。

 こうしたなか、領収書添付義務付けをめぐる“攻防”は、各自治体が政調費を条例に定めた当初から、すでに始まっていました。地方議会の政調費も、“透明度”が求められたのです。

義務付け議案に反対した自公民

 中央区では〇一年三月、地方自治法の改正にあわせて政調費を条例で定める議案の採決をしました。このとき、添付義務付けなしの区長案に反対する修正案を日本共産党中央区議団が提出しました。森山一区議(当時)は、こう訴えました。

 「領収書等という支出を証明する証拠書類の添付が義務付けられていないことは、政務調査費の使途の透明性確保という点で根本的な欠陥」「使途の透明性を確保する規定を設けることが、区民の期待にこたえる道ではないか」

 ところが修正案は、自民・民主・公明など「オール与党」の反対で否決されました。

 渋谷区では、この五年間、添付義務付けの議案が毎年提出されています。提出者は日本共産党渋谷区議団です。議案は、やはり「オール与党」の反対ですべて否決されました。

 日本共産党板橋区議団もことし九月、添付義務付けを求める条例を提案しています。

 目黒区での「不適切支出」発覚以来、住民の厳しい批判にさらされて、政調費をとりまく状況に変化も生まれつつあります。

 港区、杉並区、荒川区では十二月、添付義務付けの議案が可決し、来年度中に施行することになりました。目黒区では二十六日、これまでの「規程」によるコピー添付から、条例で原本の添付義務付けへと改正しました。中央区、墨田区、江東区、渋谷区、足立区でも、区議会として政調費の見直しを検討しているといいます。

 議会と議員が政調費の使い道を公開せずに、やみの中にしまいこんだままでは、不正の温床はなくなりません。領収書の添付義務付けという当たり前のことを実施して初めて、議会としての出発点に立つことができます。


 政務調査費 議員の調査研究に必要な経費の一部として、議員報酬とは別に、議員個人または会派に交付される費用。使わずに残った分は、返還しなければなりません。二〇〇〇年の地方自治法の一部改正にともない、それまで要綱や議会内の取り扱いという形で交付していたものを、各自治体ごとに条例で定めることになりました。

表

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