2006年12月28日(木)「しんぶん赤旗」

企業・団体献金 「二つの財布」

辞任ですまない

佐田行革相


架空の事務所経費約七千八百万円の虚偽報告が明らかになった佐田玄一郎行政改革担当相(衆院群馬1区)は二十七日、政治資金報告について一部不適切な処理があったことを認め、辞任を表明しました。本紙の調べで佐田氏は、みずから支部長を務める政党支部「自民党群馬県衆議院比例区第二支部」とは別の政党支部を持ち、企業・団体献金の受け皿として二つ目の“財布”にしていたことがわかりました。佐田氏は辞任ですますのではなく、政治資金の全容についてみずから明らかにする責任があります。


 この政党支部は、「自民党ふるさと創生建設支部」。住所は、佐田氏の資金管理団体「赤城倶楽部」と同じ住所(前橋市三俣町内)。会計責任者も、赤城倶楽部、比例区第二支部の会計責任者と同一人物です。

 群馬県選挙管理委員会に届け出た「ふるさと創生建設支部」の政治資金収支報告書によると、企業・団体献金として二〇〇二年に四千五百九十四万円、〇三年に三千九百七十四万円を集めています。地元建設業者が中心です。〇四年、〇五年は「党費」収入が五万円前後あるだけです。

 企業・団体献金は九〇年代、佐川・暴力団疑惑、ゼネコン汚職など金権・腐敗事件が相次ぎ、国民の批判が高まるなかで、二〇〇〇年一月から、国民の税金を原資とする政党助成金導入と引きかえの形で政治家個人に対しては禁止されました。

 ところが、政治家が支部長となった政党支部を事実上の受け皿にして企業・団体献金を集めているのが実態です。

 佐田氏の場合も、〇三年、〇四年は「自民党群馬県第一選挙区支部」で、〇五年は「比例区第二支部」で、それぞれ、百二十五万円、三千二百五十九万円、三千二百三十二万円の企業・団体献金を集めています。

 また〇三年には、第一選挙区支部に「ふるさと創生建設支部」から二千百万円の“上納”があり、一体ぶりを示しています。

 一方、資金管理団体は企業・団体献金を集めることはできませんが、赤城倶楽部は〇三―〇五年の間、政治資金集めパーティーで毎年三千万円を超す収入があります。ヤマダ電機や全国不動産政治連盟、全国ビルメンテナンス政治連盟が百五十万円、百万円と大量購入するなど、大半は形を変えた企業・団体献金です。


辞任会見 しどろもどろ

 「国民に誤解と不信の念を抱かせたことを心より深くおわびする」―。自身の政治団体をめぐって不適切な会計処理があったことを認めて大臣辞任を表明した佐田行革担当相。責任を「会計責任者の未熟さ」に転嫁しましたが、本紙が明らかにしたように他の政治団体とも深い関係があり、責任逃れは許されません。

 佐田氏は会見で、「群馬の経費を事務所費に計上した。そして違う団体の政治活動費を付け替えていた」とのべ、選挙区である群馬県の後援団体の経費を東京都内の政治団体「佐田玄一郎政治研究会」の経費として付け替えたことを認めました。

 しかし、「なぜそのような会計処理をしたのか」との質問には、「私もよく分からない」と自らの関与を否定したうえで、「当時は会計責任者が未熟だったということはあるかもしれない」と答えました。しかし、同研究会の事務担当者は同氏の公設第一秘書で、政党支部の事務担当者も兼ねており、そんな言い逃れは通用しません。

 さらに、同研究会は政治資金の不正受給のための架空の団体で、存在しなかったのではないかとの追及に、佐田氏は「いや。賃貸契約はしていないが、後援会の会合などを(佐田建設の)事務所を借りてやっていた」と、しどろもどろに。

 付け替えの額についても「かなりの額だが、今は分からない」と無責任な態度に終始しました。

虚偽の政治資金収支報告

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