2006年12月20日(水)「しんぶん赤旗」

少子化対策、ドイツの新法とは?


 〈問い〉 ドイツが少子化対策で画期的支援策をとったと聞きます。どんな法律ですか?(愛知・一読者)

 〈答え〉 ドイツの出生率は1・35で、日本よりはよいものの、隣国フランスや北欧諸国をはるかに下回り、世界で185番目です。両親の多くが共働き家庭となった現状を踏まえ、特に子育て期の所得保障の観点から導入されたのが父母手当です。ドイツ連邦議会で9月に採択された「父母手当法」として来年1日から施行されます。

 父母手当は、両親のどちらかが育児休業をとる場合、14カ月にわたり、給与(過去1年間の平均実質所得)の67%を国が補償するというものです。

 最高額は1800ユーロ(1ユーロ=150円換算で27万円)。ただし、片親だけが休職してもらえる期間は12カ月で、残る2カ月の手当をもらうためにはもう一方の親も休職する必要があります。父親の育児参加を促進する規定です。

 双子、三つ子などの多子出産の場合、2人以上の子1人につき300ユーロ(4万5千円)が加算されます。

 連続出産の場合、上の子と下の子の年齢差が3歳未満の場合には、兄弟加算があります。2人目、3人目の子どもには通常の父母手当に、特例として10%が追加で支払われます。加算額は最低75ユーロで、10%が75ユーロに達しない場合は75ユーロ払われます。

 両親が学生であったり、失業していた場合、父母手当は14カ月間、300ユーロが支払われます。

 また、週30時間内の短時間勤務をする場合も父母手当を受け取ることができますが、この場合は就業時間の短縮によって得られなくなる額の67%とされます。

 この父母手当以外に、家庭には児童手当として、第1子に月々154ユーロ、第2、第3子には179ユーロが支払われます。

 ドイツでは3年間の育児休暇が法律で補償されています。

 一方、これまで子ども一人につき300ユーロを2年間にわたって支払ってきた養育手当は、父母手当の創設にともない廃止されます。

 連邦政府は、父母手当の予算を07年が35億ユーロ(5250億円)、08年が44億ユーロ(6600億円)と見込んでいます。

 フランスではすでに、育児基本手当〈3歳児になるまでの期間、月々168・2ユーロが支給され、出産で仕事を全休する場合353・6ユーロ(5万3千円)〉、労働時間短縮、教育費など、手厚い支援策がとり、出生率をあげています。(片)

 〔2006・12・20(水)〕


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