2006年11月27日(月)「しんぶん赤旗」

主張

自衛隊法等の改悪

海外戦争への参加を許さない


 政府・与党は、海外派兵を自衛隊の「本来任務」に格上げする自衛隊法「改正」案と防衛庁を海外作戦を指導する防衛「省」に変える防衛庁設置法「改正」案の衆議院通過を急いでいます。十二月十五日までの会期内に成立させるねらいです。

 両法案はセットです。海外派兵と海外軍事作戦の本格化を目的にしています。アメリカの先制攻撃戦争に参加する態勢を一段と強める制度的大改悪です。安倍首相が海外で米軍防衛のために武力行使に道を開こうとしているだけに海外派兵態勢づくりの加速化は重大です。

他国民犠牲の道

 政府は自衛隊が憲法違反の軍隊であることが明白であるため、「日本防衛」が任務だといって批判をかわしてきました。両「改正」案はこの自衛隊法のしくみを根底からくつがえすものです。過去の侵略戦争を反省し、二度と戦争をしないと誓ってつくった憲法をふみつけにする海外活動の「本来任務化」を許すことはできません。

 自衛隊創設時に国会は、再び自衛隊が海外に出ないように「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」を採択しました(一九五四年六月二日参院本会議)。当時の吉田内閣がアメリカいいなりに軍備を拡大・強化していたからです。

 その提案理由説明は、再び海外にでて戦争をすることのないようにとの国民の願いにこたえて、「憲法の明文が拡張解釈されることは誠に危険」「その危険を一掃する上からいっても海外に出動せずということを国民の総意として表明しておく」と強調しています。戦争をくりかえさせないというこの国民の総意をふみにじるなど言語道断です。

 国際平和活動といっても国際災害支援などが中心ではありません。アメリカの戦争を支持しそれに参加することが最大の眼目です。

 「周辺事態」での米軍支援活動を「本来任務」にするというのは、日本が攻撃されてもいない段階でアメリカがアジア太平洋地域でおこなう戦争を日本も一緒になって進めることを本業にするということです。

 アメリカのイラク戦争を支援することが自衛隊の本業だということは、これからもアメリカの先制攻撃戦争に参加・協力することの約束表明にほかなりません。

 自衛隊法等の「改正」は、同盟諸国からでさえ孤立を深めているブッシュ政権を励まし、違法・不当な戦争政策を加速させるだけです。防衛「省」昇格とも相まって、装備と予算の膨張も必至です。

 航空自衛隊はイラクで米軍の軍事物資を空輸し非人道的無差別攻撃を支えています。発砲はしないとはいえ、住民殺りくに手を貸すことに変わりありません。

 政府はいまは、武力行使をしないといっていますが、憲法九条を改悪し、海外で武力行使に道を開こうとしていることはあきらかです。

 日本を「戦争をする国」に変える布石となる海外派兵態勢づくりを断念させることが重要です。

いまやるべきこと

 昔と違いいまは、問題を戦争でなく平和的・外交的解決というのが世界の大勢です。ブッシュ政権の一国覇権主義や先制攻撃戦略に反対する声も格段に強まっています。アメリカの不当不法な戦争に参加・協力して、かつてなく進んでいる世界平和のとりくみを妨害してはなりません。

 憲法九条を生かした平和的・外交的役割を追求するためにも、海外戦争への備えをやめるべきです。


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