2006年11月19日(日)「しんぶん赤旗」

サラ金被害

利下げ後の課題探る

鹿児島 多重債務根絶へ1500人


 「金利引き下げ後、多重債務根絶のために何をすべきか」―。サラ金などの高金利問題で十八日、「第二十六回全国クレ・サラ・商工ローン・ヤミ金 被害者交流集会」が鹿児島市内で開かれ、全国の被害者団体や弁護士ら約千五百人が集いました。今国会で審議中の金利制度改定案の早期成立を期す一方、分科会では「行政機関の体制整備が急務」「ヤミ金業者撲滅のために何が必要か」など、今後の課題について活発な議論が交わされました。集会は十九日までの日程。

 宇都宮健児・日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部長代行は、国会での貸金業規制法等改正案の審議状況などを報告。「与党に事実上の利上げや特例高金利を撤回させた。大きな勝利だが、満足してはいない」と話しました。

 サラ金被害者ら三人が、今も続く高金利被害の実態を語りました。

 松山市の女性は医療費や生活費をサラ金から借りざるをえず、総額三百万円を超えました。貸金業協会宇和島支部(サラ金業界団体)を訪れると「債務整理をする」と言われ、実際には利息が25%も上乗せされていたといいます。

 「業界の『債務整理』は、回収の手段でしかなかった。隠れている被害者がほかにもたくさんいると思う」

 集会に先立ち記者会見した木村達也・全国クレジット・サラ金問題対策協議会事務局長は「多重債務問題は『個人の借りすぎ』ではなく構造的な問題。背景には貧困などの社会問題がある。あらたな被害者を出さないための対策を研究する場に」と話しました。

 ルポライターの鎌田慧氏が「格差社会と高金利」と題して講演しました。

 今後の課題を探るため、集会は二十の分科会を設置しました。

 分科会「行政の多重債務対策」では「生活苦が多重債務の引き金になりうる」として、行政の対応を議論。公費で無利子や低利で融資をする「生活福祉資金貸付事業」が知られていないことなどが指摘されました。

 このほか「ヤミ金問題と対策」「多重債務とホームレス問題」「(パチンコなどの)依存症問題」「不動産担保ローン対策」など議論しました。


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