2006年11月17日(金)「しんぶん赤旗」

主張

和歌山県知事逮捕

談合と口利き政治一掃しよう


 和歌山県発注の公共工事をめぐる談合事件で、木村良樹知事が談合に関与した疑いで逮捕されました。

 事件の構図は、さきに逮捕・起訴された福島県の佐藤栄佐久前知事と驚くほど似ています。知事と親密な民間人が仲介役となってゼネコンと県幹部を結び、官製談合をくりかえすことで予定価格すれすれの高値で工事を受注させ、税金から暴利を得た建設業者が仲介者に裏金を渡し、黒い金が知事周辺にも流れるという構造がつくられていました。

腐敗の癒着構造

 談合の疑いがかけられているのは前回の県知事選の直後である二〇〇四年十一月に入札された二件のトンネル工事と下水道工事です。いずれも、県の予定価格にたいする落札価格の割合(落札率)は97%の高値張り付きとなっています。

 日本共産党県議団は県工事の高値落札を批判し、改善を求めてきました。同年に県土木部が発注した大型工事は六十九件、平均落札率は96%です。正当な入札が行われ落札率が80%にまで下がったとすれば、同年だけで約三十五億円の税金を節約できました。県民の被害は甚大です。

 自民、公明、民主、社民の「オール与党」に支えられた木村知事は、公共工事の予定価格を事前公表するなどの入札「改革」をすすめていました。しかし、制度を運用する県幹部が加担した官製談合では、いくら小手先の制度いじりをしても談合を排除できるはずがありません。

 福島県の事件では知事の多選の弊害が指摘され、自民党は中川秀直幹事長の音頭取りで「四選以上を推薦しない」という方針をまとめようとしています。しかし、和歌山県知事は二期目。任期はどうあれ、長く続く自民党県政で形成された強固な腐敗の癒着構造のもとで、汚職はくりかえされます。この本質的な問題にメスを入れず、「多選規制」でお茶をにごそうという自民党のたくらみは底が割れています。

 今回の和歌山事件では、ゼネコン側の談合仕切り役である大林組元顧問と、県知事の意向に従ってゼネコンと組む地元企業を決める役割を担った県出納長の間の「仲介役」として、知事と親密な元ゴルフ場経営者(起訴ずみ)が暗躍していました。

 この元ゴルフ場経営者は、談合で工事を落札したゼネコンから数千万円単位の巨額の裏金を受け取っていました。この人物と自民党の中川幹事長、世耕弘成首相補佐官が今年七月、仲良くゴルフをしていたことが発覚しています。利権がらみで犯罪に手をそめる輩(やから)と自民党の幹部議員が平常から親密に交際しているような実態こそが癒着の温床であり、同党の腐敗不感症を物語っています。

 腐敗根絶に向けた「あっせん利得処罰法」の改正を妨害している自民党の態度にも、腐敗体質が現れています。国民の税金を食い物にする「口利き」政治を断ち切るために、抜け穴だらけの現行法を改正し実効あるものにすることを日本共産党などが提案しています。

金しばりの政治なくせ

 しかし、自民、公明の与党は「口利きの規制を強めると自由な政治活動が委縮する」といって改正案を葬りました。これでは、口利き・談合政治の温存を望んでいるのだといわれてもしかたありません。

 公表される献金でも裏金でも金で政治を買う企業・財界の「金しばり」、政治を金で売る政治屋の「金あさり」。これに唯一無縁な政党は日本共産党です。談合腐敗を一掃し、国民本位の政治をとりもどしましょう。


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