2006年11月12日(日)「しんぶん赤旗」
米ブッシュ与党 大敗の衝撃
反戦運動家たち “新議会に圧力を”
「イラク戦反対」言わぬ議員 民主党にも厳しい目
「選挙結果はよかったと思います。ことにラムズフェルド国防長官がいなくなったことはね。この先一年、対イラク政策に大きな変更があるでしょう」
反戦イラク退役軍人会のニューヨーク支部長を務めるホゼ・バスケスさんは、イラク戦争が最大の争点の一つとなった中間選挙で、共和党が敗北したことを歓迎しています。同時に「民主党が勝ったからといって大喜びはしていません」とも言います。
賛同19万人に
イラク帰還兵のジェフリー・ミラードさんも「民主党はこれまで反戦の党として活動してこなかったので、懐疑的に見ています」と民主党の動きを注視しています。
「民主党が上下両院で多数派となったことが示しているのは、ブッシュ政権の政策とイラク戦争への拒絶です」―イラク戦争反対を掲げない候補者に投票しないことを誓う「平和を支持する投票者」運動のリンダ・シェード事務局長はこう指摘します。同運動への賛同者は投票日の七日までに十九万人に達しましたが、そこには有権者の不満があると言います。
「賛同してくれた人の多くが、『私の選挙区には平和を支持する候補者がいない』と言っていました。平和を支持する投票者には行き場がないのです」
元米外交官で、いまは反戦運動で活躍するアン・ライトさんは、自分たちの地道な運動が米国の人たちの見方を変えたと強調したうえで、こう指摘します。
「米国民が圧力をかけねばなりません。すべての議員が戦争中止と言って選ばれたわけではありませんから、国民が議会に正しいことをやるよう仕向けねばなりません。『私たちがあなた方を選んだのは、戦争をやめてほしいからだ』と、たゆまず圧力をかけねばなりません」
「弾劾はない」
反戦運動の人たちが、共和党敗北を歓迎しつつ、議会で多数派となった民主党に厳しい目を向けるのには根拠があります。
「もう一度申し上げます。(大統領の)弾劾は日程にありません」
選挙翌日の記者会見で、次期下院議長と目される民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務は、ブッシュ大統領を弾劾する考えのないことを改めて強調しました。イラク戦争をめぐり、ブッシュ氏を弾劾すべきだという声が、民主党議員の中からも起きているにもかかわらず、同氏はかたくなに拒否しています。
これに対し、草の根からブッシュ大統領、チェイニー副大統領の弾劾を求める声を起こそうという運動も始まります。約二百の反戦・平和組織が参加する「変化のための弾劾」運動がそれです。新しい議会のもとで反戦運動も新しい課題に取り組むことになります。(ニューヨーク=山崎伸治)
イラク戦への痛烈な審判
東南アジア各国紙が社説
東南アジア各国の新聞は十日、米国の中間選挙結果について、いっせいに社説を掲載し、共和党の大敗をブッシュ政権のイラク戦争政策への国民の痛烈な審判と見なし、今後、民主党を含め米国がイラク問題にどう対応していくのか注視しています。
フィリピン英字紙インクワイアラーは、「ブッシュ政権への大打撃であり、ブッシュのイラク戦争への拒絶だ」「選挙結果で真に注目すべきことは、野党勝利の規模ではなく、民意の勝利だという事実だ」と述べています。
タイでは英字紙ネーションが、「米国民、ブッシュへの怒りをぶつける。民主党の勝利は、米国民がイラク政策の変更を求めていることを示した」と指摘。同時に、「民主党が多数を占めた議会は、米国の外交政策の新しい方向を示すだろうか?」と問うています。
同じくタイ英字紙バンコク・ポストは、「ブッシュの過ちは、『脅威』に対して巨大な武力で対抗しようとしたことだ。これがイラクへの直接侵略の誤りを招いた。米国民はもうこの政策を支持しない」としています。
マレーシア紙星州日報は、「ブッシュのイラク政策は、中東を安定させるものでも米国を安全にするものでもない、という国民の民意が示された」と述べる一方で、今後、民主党がイラク政策の変更にどのような役割を果たすかに注目しています。
シンガポール紙聨合早報は、「共和党の敗北は、有権者がイラク戦争への反対票を投じたことを意味する。彼らは投票を通じてブッシュ政権に痛烈なげんこつを食らわせた」と述べています。

