2006年11月8日(水)「しんぶん赤旗」
近づくAPEC
米が自由貿易協定案
ベトナム難色 東アジア重視要求
【ハノイ=鈴木勝比古】十八、十九日にハノイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向けて、米政府が「APEC自由貿易協定(FTA)行動計画」案をベトナム側に提案していることが分かりました。これは米国が有力な一員とするFTAを、期限を区切って実現しようという構想です。背景には、東アジア地域で米国抜きのFTA構想が進んでいることへの焦りがあるとみられています。
ベトナムのAPEC会議関係者によると、米国はベトナム側が準備している「ハノイ行動計画」案とは別に「APECのFTA行動計画」を提案。これに対し、ベトナム側は「もし(米案の)FTA行動計画が持ち込まれれば、ベトナム側が提唱しているハノイ行動計画の内容が薄められる」としています。
ベトナム側がこれまでに準備したAPEC首脳会議宣言案(第一次案)はFTA構想について、「ボゴール目標の達成を基礎にして将来におけるアジア・太平洋地域のFTAの可能性を検討する」として、APECレベルのFTAに言及しています。
ただ、昨年十二月の初の東アジア首脳会議以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に東アジア共同体とFTA実現の構想が盛んになっています。ベトナムは、ASEAN、東アジア首脳会議の参加国として東アジアFTAを重視しており、米国の提案をそのまま受け入れることができない立場にあります。
会議関係者によると、米国はこのほかに北朝鮮の核問題に関連して大量破壊兵器に関する討議を提案しました。会議関係者によると、六カ国協議に参加する五カ国外相による朝食会で討議することになります。
米国はまた米国とAPEC参加のASEAN七カ国の首脳会議を提案しましたが、ベトナム側は米国+ASEAN10か、ミャンマーが閣僚級で参加する米国+9・5の会議開催を提案しました。
中国は香港と台湾を除く十九カ国の朝食会を提案しています。
ベトナム側は六日までに、十月下旬作成の第一次案にその後の各国の意見を反映した第二次案を各国に送付しました。
APEC アジア太平洋経済協力会議の略。同地域の持続的発展を図るとして一九八九年に発足。参加国・地域は日本、韓国、中国、香港、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、ロシア、米国、カナダ、メキシコ、チリ、ペルーの二十一カ国・地域。一九九四年に「先進国は二〇一〇年までに、途上国は二〇二〇年までに、自由な貿易と投資という目標を達成する」とするボゴール目標に合意。

