2006年11月1日(水)「しんぶん赤旗」

6カ国協議再開 3者合意

平和・外交解決に努力

背景に国際社会の団結


 北京での三者会談が六カ国協議再開で合意したことは、北朝鮮の核実験を許さず、朝鮮半島の非核化と問題の平和的・外交的解決をめざした国際社会の一致した意思と努力の一つの結実といえます。

 六カ国協議米国首席代表のヒル国務次官補が三十一日夜の記者会見で明らかにしたところでは、数日前に中国側がライス米国務長官に打診し、三十一日に中国の武大偉外務次官、ヒル氏、北朝鮮の金桂冠外務次官という三国首席代表の非公式会談が実現し、「協議再開」が確認されました。

 六カ国協議は、北朝鮮の核保有宣言をきっかけに高まった緊張を背景に、二〇〇三年八月に始まり、〇五年九月の第四回会合で、朝鮮半島非核化と米朝、日朝の国交正常化の道筋を決めた共同声明で合意しました。

 その後、米国がマカオの北朝鮮銀行口座の凍結などの金融制裁をしたことに北朝鮮が反発し、昨年十一月から交渉が中断していました。

 北朝鮮は米国が金融制裁解除に応じる姿勢をみせないことなどを口実に態度を硬化させ、今年十月九日、米国による「北朝鮮圧殺政策」に対抗するとして核実験を強行しました。

 これに対し国際社会は五日後の十四日、北朝鮮の核実験を断じて許さない意思を、全会一致の国連安保理制裁決議という形で示しました。

 安保理決議は、朝鮮半島の非核化をめざすという目標を明確にしたうえで、制裁手段を非軍事的措置に限定し、北朝鮮の六カ国協議への即時無条件復帰を要求、昨年九月の共同声明の速やかな履行に向けた平和的・外交的解決の努力を加盟国に呼びかけました。

 その後、決議の実行について関係各国の努力や一連の措置がなされました。なかでも中国は安保理決議の全面実行を表明し、北朝鮮への外貨送金の停止や国境管理の強化などの措置をとりました。その一方、外交分野の責任者である唐家セン国務委員を北朝鮮に派遣、十九日に金正日労働党総書記との会談が実現しました。

 中国側の発表によれば、会談で金総書記は、米国の対応についてさまざまな条件はつけたものの、次の核実験実施は言明せず、また六カ国協議復帰についても否定はしませんでした。

 こうした経過をへて六カ国協議再開が合意されました。緊張激化や軍事的対応を排除して、朝鮮半島の非核化をめざす平和的・外交的解決で国際社会が一致団結して対応したことが、北朝鮮を協議に復帰させる最大の要因になったことは間違いないでしょう。(小寺松雄)


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