2006年10月30日(月)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地

撤回こそ負担軽減の第一歩


 日米両政府は、米海兵隊基地キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)での新基地建設の早期着工に向け、滑走路や施設配置にかんするマスタープランの作成などの作業を急いでいます。高市沖縄担当大臣も就任後初めて沖縄に入り、北部振興策をリンクさせながら沖縄県などへのはたらきかけをつよめています。

 新基地は、アメリカが地球的規模で進める先制攻撃戦争のための恒久的な足場になるものです。負担軽減どころか沖縄県民の痛みを激しくする新基地建設計画は撤回させる以外道はありません。

巨大基地の恒久化

 米軍基地は沖縄県土の一割を占め、爆音、墜落、米軍犯罪、環境汚染などの温床であり、県民に言葉で表せないほどの苦痛を与えている元凶です。本土復帰後三十四年もたつというのに基地を温存するばかりか、逆に軍事機能を強化する一方です。その最たるものが新基地建設です。

 アメリカは、新基地建設で、海兵隊の“殴り込み”機能を飛躍的に強め、地球的規模の先制攻撃戦争を容易にすることをねらっています。千八百メートルの滑走路二本をV字状につくり、格納庫や整備施設など航空作戦に必要な四十もの施設をそろえ、補給艦などの艦船が横付けできる岸壁を完備するのはそのためです。

 大型輸送用ヘリだけでなく、C130などの固定翼の輸送機や、ヘリのように垂直に離着陸し、輸送重量が大きい場合は固定翼機のように滑走路をすべるように離着陸できるオスプレイも配備されます。

 これらの米軍機は毎日飛行をくりかえし、名護市民だけでなく、広い地域の住民に爆音被害をもたらします。墜落の恐怖も増幅します。「住宅の上を飛ばない」などという政府説明など何の保証にもなりません。

 新基地は、イラクで行っているような非人道的無差別殺りくを行う足場になるのはあきらかです。沖縄戦の体験から、「命(ぬち)どぅ宝」を大切にする県民にとって、沖縄が多数の命を奪う基地になることは耐えられることではありません。

 新基地の押し付けに県民の反発が広がっているのは当然です。

 見過ごしにできないことは、政府が新基地を押し付けるために、基地負担の軽減の証しにしてきた米海兵隊八千人削減のうそがあきらかになったことです。

 政府は沖縄にいる海兵隊のうち司令部要員八千人とその家族九千人をグアムに移すといって、新基地建設を押し付け、グアムの米軍基地建設費約七千億円をふくむ巨額負担を決めました。しかし、米太平洋軍が作成した「グアム統合軍事開発計画」は、新設する海兵隊司令部の要員数を二千八百人と明記しています。八千人削減への疑問が広がっています。そのためか、政府は米側に申し入れて計画文書をホームページから削除させました。政府は国会でも説明できないありさまです。

 県民の負担軽減の願いを逆手にとって、うそ説明で新基地を押し付けるなど言語道断です。卑劣な策動を許さず、新基地計画を撤回させることが負担軽減の第一歩になります。

主役は県民だ

 政府は、八月に政府と沖縄県・名護市などとの協議機関をたちあげたあと、米軍いいなりに新基地建設に向けた動きを強めています。県民の力で新基地を撤回させるしかありません。沖縄県知事選挙は、その絶好の機会です。新基地にきっぱり反対する候補を勝利させることが決定的に重要となっています。


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