2006年10月20日(金)「しんぶん赤旗」

止まらない外相の「核武装」発言

改憲タカ派政権の地金か


 麻生太郎外相の「核武装」発言が止まりません。

 核武装をめぐる議論について「いろんなものを検討した上で持たないというのも一つの選択肢だ」(十七日、衆院安保委員会)と容認。十九日には「核保有の議論はいいことか」との質問に「言論を封殺するという考え方にはくみしない」(衆院テロ・イラク特別委員会)と開き直ったのです。

 問題なのは、麻生外相の発言が一時の「失言」ではなく、本心ではないかということです。

 麻生外相といえば、昨年末の訪米時にチェイニー副大統領らに「北朝鮮がこのまま核開発を進めていくなら、日本でも核武装しなければならない」と発言した、と『週刊文春』(三月九日号)に報じられた“前科”があります。このときは外務副大臣が否定会見を行いました。

 さらに「朝日」十九日付は、「麻生氏は十七日夜、自民党議員との会合で、同党の中川昭一政調会長が『核保有の議論はあっていい』と発言したことについて『タイミングのいい発言だった』などと支持する考えを表明していた」と報じています。

 いずれも、本人が認めたものではありませんが、国会の場での発言は「核武装」発言が本心ではないかと疑わせるにたるものです。

 北朝鮮に対して、世界が核計画の放棄を求め、一致して対応しようとしているなか、麻生外相の発言はそれに逆行し、アジアと世界の緊張を高めるもの。唯一の被爆国の外相としての資格もありません。

 見逃せないのは、安倍晋三首相まで「議員個人の発言まで(抑制できない)。日本は言論が自由だ」とかばいだてしていることです。

 首相もまた、官房副長官時代に講演で「核兵器保有合憲」発言を行い、米ニューヨーク・タイムズ紙(二〇〇二年六月九日付)も「日本で核兵器のタブーが挑戦受ける」と大きく報じたことがあります。その際も、「核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは、憲法の禁ずるところではない」(〇二年五月二十八日、参院予算委員会)との答弁を繰り返し、批判をあびました。

 北朝鮮の核実験実施に対して、どう対応するかという岐路で、「核武装」論議をめぐって改憲タカ派政権の地金がみえてきたとしたらあまりにも重大です。(藤田健)


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