2006年10月19日(木)「しんぶん赤旗」

第39回 赤旗まつり

民衆の思い 分かち合いたい

軍政とのたたかいから生まれた

私も出演します

韓国のバンド サム・トゥッ・ソリ

3日午前 中央舞台


 「赤旗まつり」に初めて参加する韓国のバンド「サム・トゥッ・ソリ」(「生きる」「意志」「うたごえ」の意)。軍事独裁政権とたたかう民主化運動の中から生まれた民衆歌手、音楽家らの団体・韓国民族音楽人協会(民音協)が誇る日韓文化交流特別バンドです。


写真

(写真)サム・トゥッ・ソリの4人

 南北に分断された朝鮮半島の統一への渇望、社会変革への熱情を力強く歌う彼らの音楽は、「民衆歌謡」と呼ばれます。植民地解放後の祖国の分断、自由と民主主義を圧殺する独裁政権の支配という現実に直面した韓国民衆が、自らの手で生み出した音楽文化です。

 「一九七〇年代中盤に、朴正熙の永久執権に抗して形成されはじめた抵抗運動勢力から、サムルノリ(伝統楽器による民俗芸能)やタルチュム(仮面劇)といった民衆芸術と同じように、民衆歌謡が生まれたんだ」とリーダーのソン・ビョンフィさんは語ります。

 当時、流行だったフォークを基礎に学生街で誕生した民衆歌謡は、八〇年代の民主化運動の高揚のなかで量的にも質的にも成長。検閲によってタガをはめられた商業音楽の限界を突破し、独自の世界を築いていきます。

 来日する四人のメンバーは、いずれも八〇年代に大学に入学。全斗煥政権による光州市民虐殺(八〇年)を糾弾し、激しく燃え広がる民主化運動の中で民衆歌謡に出合った彼らは、大学内で音楽運動グループを組織し、軍事独裁政権の暴圧に“うたごえ”で立ち向かいました。現在はそれぞれプロとして独自の道を歩み、集まるのは一年に数度だといいます。

 民衆歌謡の説明を頼むと、ソンさんは「ラブソングじゃないという特徴がある」と笑います。

 メッセージ性の強い歌詞という共通項を除けば、行進曲あり、叙情曲ありとジャンルは多様。九〇年代に入り、ロックの要素も取り入れられました。

 八〇年代末には、合法的にアルバムを出すことに成功し、活動領域はさらに拡大。メンバーも参加した「ノレルルチャンヌンサラムドゥル(歌を求める人々)」のアルバムは大ヒットし、数十万枚の売り上げを記録しました。

国境を越えた 平和の連帯

 赤旗まつりでは、「彼のための行進曲」、「人は花よりも美しい」など、八〇年代から九〇年代の民衆歌謡を代表する曲を披露。日本の反戦歌「死んだ男が残したものは」も日本語で歌います。ソンさん作の「一緒に行かなくても」も、一部を日本語で歌う予定です。

 国境を越えた平和の連帯を歌う、この曲は二〇〇三年、韓国軍のイラク派兵に反対する各地の集会で歌われました。ソンさんは、この曲を録音中に韓国政府のイラク派兵決定を聞き、急きょ、歌詞を変更。「心の銃を下ろし花の種を植えよう」と呼びかける別バージョンを発表しました。

 ソンさんは昨年、戦争と平和をテーマにした「キャンドルの海」というアルバムも発表。「商業的には失敗だったが、誇りに思っている」作品です。

 「韓国の民衆も懸命にたたかいながら生きてきた。私が日本に生まれたら、憲法九条を守るためにたたかうし、日本の人たちも韓国で生まれたら、独裁反対を叫び、南北統一のためにたたかうだろう。その気持ちを音楽を通して分かち合いたい」

 「民衆同士の交流、文化交流こそが日韓関係の希望」というソンさんの、「赤旗まつり」にかける思いです。

「うたごえ」運動との交流

 バンドは九八年、日本のうたごえ全国協議会から創立五十周年記念祭典に招請されたのを契機に、協会所属アーティストによって結成。バンド名も民族の「生」と「意志」の「うたごえ」を響かせようという協会のモットーからつけられました。

 翌年には初の日本ツアーも実現。うたごえ運動との交流を進めてきました。韓国でも、大きな行事などには、協会の代表として参加。昨年の解放六十周年記念行事にも出演しました。

 九八年からの「うたごえ」との交流は驚きの連続だったと、ソンさんは語ります。「多くの人が集まり、音楽も多様で、六十年の歴史を持っているというのに驚いた。私たちも大きな闘争の時に文化祭を開くが、『うたごえ』のような大衆に根ざした音楽運動の組織はない。日本の経験も私たちの助けになるのではないか」

 「赤旗まつりも期待している」というソンさんは、共産党の祭典への出演についてこう語りました。

 「最近、委員長が訪問されたでしょ。反共アレルギーも消えつつあります」「結成初期から命がけで日本帝国主義とたたかった輝かしい伝統がある党、朝鮮の独立運動家と共同闘争した日本の良心を代表する党だ。韓国には八十年の歴史をもつ党も運動勢力の新聞もない。粘り強く、草の根で団結して組織をつくっているのは、うらやましい」(中村圭吾)


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