2006年10月18日(水)「しんぶん赤旗」
多くの高齢者襲う 住民税増税「合理化」
通用しない安倍政権の言い訳
多くの高齢者を襲っている住民税増税について、安倍晋三首相はじめ閣僚が国会答弁で言い訳をしています。そのどれもが道理がありません。
負担公平語るが
「現役世代と高齢者世代の税負担の公平をはかる観点が大事だ」(尾身幸次財務相)
高齢者の負担増押し付けの口実に持ち出しているのが“世代間の公平”論です。しかし、この考えそのものが不公平な議論です。高齢者は、働こうにも働き口が少ないとか、病気になりやすく医療費が多くかかるなど、勤労世代と比べて税の負担能力で対等ではありません。
六月からの住民税増税は「公平」を口実に、公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止、低所得高齢者の住民税非課税限度額の廃止が、一気に高齢者に押しつけられたことが原因です。
もともと公的年金等控除や老年者控除など、税額を軽減する制度は、高齢者と勤労者の違いを考慮して設けられたものです。それを“公平”の名で縮小したり廃止したりする理屈は成り立ちません。
大多数が負担増
「(年金課税強化の)影響は年金受給者の二割強」(安倍首相)
安倍内閣は、公的年金等控除の縮小などの年金課税強化の影響を少なく見せようとしています。
しかし、二割強とはいえ、実際は、増税だけでも五百万人以上の高齢者が負担増になりました。
増税の及ばなかった高齢者でも、公的年金等控除の縮小による所得の増加などで、国民健康保険料が増加しました。
住民税の非課税限度額廃止などによって新たに住民税が課税された高齢者世帯は、配偶者の分も含めて介護保険料が急増しています。さらに今年度から、介護保険料の基準額自体もほとんどの市町村で引き上げられています。
国保料や介護保険料の引き上げなどを含めると、大多数の高齢者が負担増になりました。影響を受けるのは「二割強」だから大した負担増でないという首相の認識は、多くの高齢者の実感からはかけ離れたものです。
数字のごまかし
「標準的な年金の収入のみで暮らす高齢者世帯は引き続き非課税」(安倍首相)
「標準的な年金受給世帯」とは、夫婦で月額約二十三万二千五百九十二円の世帯です。つまり首相は、増税になったのは年金額が月二十三万円より多い世帯であるかのように答えました。
しかし実際にはこれ以下の収入の高齢者でも増税になっています。例えば収入が、夫の年金月十八万円のみの高齢者夫婦世帯の場合、所得税で一万円、住民税で四千円の増税になります。
これは、多くの世帯が首相のいう「標準的な年金受給世帯」モデルに合わないためです。さらに住民税の非課税限度額は、生活保護の級地区分で異なります。地方に多い「三級地」では、「標準的な年金受給世帯」の夫は課税になります。
安倍首相は、「(高齢者世代は)同水準の給与所得を得ている現役世代よりも低い税負担」といいます。自民党発行のパンフレット『長寿世代の税負担増への御不満を聞いて』には、首相の答弁を裏付ける比較試算が掲載されています。
首相らが用いる数字は、試算の前提となる現役世代と高齢世代の比較の条件が同一ではありません。現役世代は「夫婦片働き」の収入なのにたいし、年金世代は、夫婦の年金を合わせた年収になっています。
同じ条件に直して試算すると、現役世代よりも年金世代の方が税負担が重くなる場合が出てきます。(表)(山田英明)
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