2006年10月14日(土)「しんぶん赤旗」

安倍政権下の経財会議始動

財界本位の「改革」へ


 安倍晋三首相の下で、新しい経済財政諮問会議が発足し、活動を開始しました。安倍首相が「構造改革のエンジン」と位置付ける諮問会議。財界・大企業直結政治の「エンジン」スタートです。(金子豊弘)


 諮問会議の狙いを同会の議事進行役に就任した大田弘子経済財政担当相がこう指摘しています。

 「予算編成の主導権を財務省から官邸に移すことであり、諮問会議もそれが最大の眼目」(大田弘子著『経済財政諮問会議の戦い』)

 官邸で行われた経済財政の政策決定。問題はだれが主導したのかです。諮問会議では、財界・大企業代表ら四人連名の「民間議員ペーパー」といわれる文書が節目節目で出され、議論の方向性を示しました。諮問会議は、民間議員の意向を受け、政策決定のスピードアップや数値目標、工程表も提示。従来の審議会のような単なる議論の場ではなく、政策の実行に重点がおかれるようになりました。実際、大企業向けの一兆円を超す企業減税や郵政民営化を決定する舞台となりました。

 大田経済財政担当相は記者会見で、民間議員の役割を特に強調しました。「諮問会議の場合は民間議員が自由な発想で高めのハードルを掲げて改革をけん引するという持ち味があります」

 今回、民間議員に選ばれたのは、キヤノンの御手洗冨士夫会長(日本経団連会長)、伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長の大企業・財界の代表者です。

 御手洗経団連会長は奥田碩経団連前会長に続き選ばれました。「諮問会議は経団連会長の指定席に」(財界関係者)なった感があります。丹羽会長は、二〇〇三年五月から〇六年五月まで経団連の税制委員会共同委員長を務め、現在、日タイ貿易経済委員会の委員長です。

 さらに伊藤隆敏東大大学院教授、八代尚宏国際基督教大教授の学者二人が起用されました。

 今回、拡充された首相補佐官の中で経済財政を担当するのは根本匠議員です。補佐官を支える官邸スタッフも強化しています。官邸と諮問会議が重層的に経済財政運営を担うことになります。

 安倍首相が掲げるのがイノベーション(技術革新)戦略です。これは経団連の御手洗会長が掲げる「イノベイト日本」と同じ。政権と財界の一心同体ぶりに、証券界からも「政治のトップと財界ヘッドの概念・スピーチが、これほどクロスオーバーしたのは記憶に無い」(三菱UFJ証券のリポート「『イノベーション』による成長路線を選択した安倍政権」)と驚きの声が上がるほどです。

 今後、諮問会議は安倍政権が掲げる大企業本位の「経済成長戦略」や庶民負担増となる歳入・歳出「改革」の推進などを課題にしようとしています。


新メンバー

 経済財政諮問会議の新議員は次の通りです。

 安倍晋三首相(議長)▽大田弘子経済財政担当相▽塩崎恭久官房長官▽尾身幸次財務相▽甘利明経済産業相▽菅義偉総務相▽福井俊彦日銀総裁

 民間議員は次の四氏。御手洗冨士夫キヤノン会長(日本経団連会長)▽丹羽宇一郎伊藤忠商事会長▽伊藤隆敏東大大学院教授▽八代尚宏国際基督教大教授


民間議員の語録

格差は活力の源/意欲欠ける者は解雇

 御手洗冨士夫 キヤノン会長(日本経団連会長)

 「一見優しく見える制度は、子々孫々への負担の付け回しでしかありません。社会保障給付につきましては、少なくとも現在の経済の身の丈にあった水準にまで合わせ込んでいくことが必要」「格差は問題というよりも、むしろ経済活力の源」(2006年5月24日の日本経団連第5回定時総会でのあいさつ)

 丹羽宇一郎 伊藤忠商事会長

 「経済成長を維持しないと日本の未来はない」「公共投資など政府の資金で経済を活性化するのではなく、民間企業の技術開発や人材教育を、税制などで後押しする必要がある」(「読売」9月27日付)

 八代尚宏 国際基督教大教授

 「意欲に欠ける者をペナルティーとして解雇することも必要」「賃金に見合わない、生産性に見合わない賃金をもらっている人は、手続き法をベースにして、転職してもらう」(季刊労働法200号、2002年)

 伊藤隆敏 東大大学院教授

 「生産性が低い農家には退場してもらわないといけない」(「日経」10月12日付)


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