2006年9月29日(金)「しんぶん赤旗」

日本政治この異常

劣化する雇用

まず働くルールを


 安倍晋三首相は「誰でも再チャレンジ可能な社会」を掲げますが、必死に働いてもまともな生活ができない社会をつくったのはほかならぬ自民党政治です。(山田俊英)


 「まず、働くルールをきちんとすることではないですか。雇い主にも労働者にも労働者の権利を教えていくことが雇用を増やすうえでも重要です。それなしに再チャレンジといっても…」。首都圏青年ユニオンの伊藤和巳委員長は強調します。

 同ユニオンはアルバイト、派遣、パート、正社員などどんな働き方でも一人でも入れる労働組合です。「能力がないといわれて突然解雇された」「残業代未払いの上、月給を一方的に切り下げられた」。東京都豊島区の事務所には切羽詰まった電話相談が寄せられます。

 いま労働者の33%は非正規雇用(二〇〇五年平均)。〇五年賃金構造統計調査(同年六月分の賃金を全国調査)によると、二十―二十四歳の非正規労働者(高校卒)の月給は男性十七万円、女性十六万円です。

グラフ

 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の本多良男事務局長は「相談に来る人の大半は月収二十万円以下です。不安定雇用がどんどん増えているようではサラ金被害はなくなりません。安定した仕事、収入を得られるようにするのが政治の役割でしょう」といいます。

 「労働基準監督署に賃金不払いの訴えが増えていますが、自分が誰に雇われていたのかさえわからないという人がいるんです」と「雇用の劣化」を指摘するのは労働行政職員の組合、全労働省労働組合の森崎巌書記長です。

 携帯電話で人を集める新しい形の日雇い労働、バイク便などで横行する個人請負。労働者派遣の全面解禁などここ数年の規制緩和政策が無責任な雇用を増やしてきました。

 小泉前政権下、自民党幹事長、官房長官としてこれを推進してきた安倍氏には、非正規雇用を増やしたことへの反省はありません。それどころか、働き方の「複線化」「多様な生き方」(政権公約)という表現で、労働法制の規制緩和をいっそうすすめようとしています。


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