2006年9月27日(水)「しんぶん赤旗」

主張

安倍政権発足

政治の異常深刻にするだけだ


 自民党の安倍晋三総裁が自民・公明両党の賛成で首相に指名され、組閣を終えて政権を発足させました。

 安倍政権は、五年以上にわたった小泉政権が、内政でも外交でも深刻な行き詰まりに直面しているのをうけ、その立て直しが課題になるなかでの政権です。安倍氏のこの間の言動や党・内閣の布陣を見るだけでも、行き詰まりの打開が期待できるどころか、ますます深刻にすることが懸念されます。

三つの異常、極限まで

 小泉政権は外交では中国や韓国の近隣諸国と首脳会議が開けず、国際的には孤立しかないほど行き詰まり、内政でも国民の間で格差と貧困をかつてなく拡大して、まともなかじ取りができない事態に陥っています。その根本原因は、過去の侵略戦争を正当化する異常、アメリカいいなり政治の異常、極端な大企業中心主義の異常という自民党政治の「三つの異常」を極限まで広げたためです。

 行き詰まりの打開にはこの「異常」を取り除くしかありません。安倍政権は、肝心要のこの点で、「異常」を取り除くどころか、広げるものになっています。

 端的なのは、過去の侵略戦争を正当化する異常です。安倍氏は自民党総裁選中の論戦でも、過去の侵略と植民地支配を反省した、これまでの政府の歴史認識の踏襲をかたくなに拒否しています。それどころか、侵略戦争の反省の上に立つ憲法前文を「詫(わ)び証文」と攻撃し、「戦後レジーム(体制)」からの船出の名で、憲法と教育基本法の改悪を第一の課題に掲げています。

 新政権の布陣でも、自民党政調会長に安倍氏とともに侵略戦争美化の教科書づくりを進めてきた中川昭一氏を据えるなど、異常をさらに広げる懸念を深めさせています。アジアや欧米諸国から、安倍政権の方向に警戒の声が上がっているのは当然であり、行き詰まりをますます深刻なものにするのは避けられません。

 アメリカいいなり政治や極端な大企業中心主義の点でも、安倍政権に異常をただす方向は見られません。安倍氏は、小泉政権が目指した「世界の中の日米同盟」路線に沿って、在日米軍の再編を進めるとともに、改憲を待たずこれまでの政府の解釈を変更してでも、集団的自衛権の行使に踏み切ることを明らかにしています。アメリカが求める「海外で戦争をする国」に向けて、日本の前途をいよいよ危うくするものです。最優先の課題だとする教育「改革」でも、差別・選別、国家統制の方向を露骨にしています。

 経済政策では小泉「構造改革」を引き継ぎ、国民には消費税の増税など負担増を押し付けながら、「イノベーション」などといって大企業には法人税の軽減と「規制緩和」を続けることを明らかにしています。一握りの大企業を繁栄させ、国民の格差と貧困を拡大することは火を見るよりも明らかです。

「確かな野党」の役割

 いま日本の政治に求められているのは、自民党政治の異常を続けることではなく、根本から正すことです。自民党政治に正面から立ち向かい安倍政権の悪政を食い止めるとともに、新しい政治を切り開く、「確かな野党」の役割が大切になっています。

 日本共産党の志位和夫委員長は国会議員団総会でのあいさつで、安倍新体制と正面から対決し、平和・民主主義・暮らしの守り手として、「日本共産党ここにあり」の大奮闘を呼びかけました。国会内外での国民のたたかいが、いっそう重要です。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp