2006年9月20日(水)「しんぶん赤旗」

庶民大増税 なぜなぜ問答

財源論編 11

Q 消費税に頼らず財政再建できる?(下)


 税収の落ち込みが財政悪化の大きな原因になっているのですから、歳出面での浪費の削減だけで、この穴を埋めるのは無理があります。税収を増やす努力は必要です。しかし、問題は、誰にどのように税を負担してもらうかということです。

最高利益

 最近発表された「法人企業統計調査」によって、この十年間で所得を増やしているのは誰かを見てみましょう。まず、大企業の経常利益は十年前の倍以上に増えているのがわかります。三年連続して、バブル期を上回る史上最高を更新しています。ところが、この企業の業績向上は、従業員の給与には結びついていません。従業員一人当たりの給与は一割近くも減少しています。中小・中堅企業の役員報酬も減少しています。逆に、大企業の役員報酬は十年前の二倍近くに増えており、株主への配当金にいたっては三倍にも増えています。とくに最近五年間の増加が目立ちます。

法人減税

 一方、税収の動向を見ると、法人税(地方税を含む法人三税)は一割近く減っています。企業の利益が大幅に増加しているのに税収が増えないのは、法人税率の引き下げ(一九九八、九九年度)や研究開発減税(二〇〇三年度)などの減税が行われたためです。所得税も減っています。今後、定率減税が全廃されることを計算に入れても、まだ九五年度の水準に戻りません。これは、給与などが減る一方で、所得を増やしている大企業役員や株主に対しては、最高税率引き下げや株式配当への減税などが行われたためです。

 小泉内閣が五年間に行った増減税は、所得を減らしている庶民には五兆円以上の増税を押しつけ、所得を増やしている大企業や大資産家には三兆円近い減税という、まったく逆立ちした内容でした。こうした「逆立ち税制」をただして、大企業や大資産家に、もうけ相応の負担を求めれば、すぐにでも数兆円規模の財源をつくることが可能です。さらに一定の期間をかけて不公平税制に徹底してメスを入れれば、さらに多くの財源が生まれます。

 こうして、歳出の浪費の削減とあわせれば、消費税に頼らずに財政の立て直しをすることができます。(つづく

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