2006年9月17日(日)「しんぶん赤旗」

自民・金融庁の貸金業“規制”案

消費者保護の報告無視

政府懇談会委員が批判

金利引き下げ全国集会


 「議論してやっとできた報告をねじまげられた」「非常に憤りを感じている」―。上限金利引き下げや貸金業制度改革を公開で議論してきた金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」の委員二人が十六日、横浜市で開かれた「金利引き下げ全国集会」で発言し、利息制限法の実質金利引き上げなどを打ち出した自民党の貸金業制度改定案骨子と、そのもととなった金融庁案を厳しく批判しました。

 懇談会委員の高橋伸子氏(生活経済ジャーナリスト)は、同懇談会が昨年三月から公開で行われ、被害者も会議で発言、委員や官僚の認識も多重債務に対し「このままではいけない、となった」と報告しました。貸金業者のヒアリングにその何倍もの時間をかけたものの、結果は、消費者保護、多重債務救済のための報告(四月の中間整理)をまとめたことを紹介しました。

 しかし、金融庁案と自民党案では「それがねじまげられた状態になった」。同案は「疑問、懸念だらけ」で、利息制限法の金額区分変更では「多くの借り手に金利引き上げとなる」、自民党案で五年に短縮された特例高金利も「期間が長く、新たな被害者を生む」と指摘しました。

 また金融庁案の作成過程について、「(金融庁案は)私たちが預かり知らない水面下、“グレーゾーン”で調整されていた。非常に憤りを感じている」と発言。「透明な場で議論してほしい。政府提案なら懇談会報告を尊重し、審議会答申以上の扱いをすべきだ」とのべました。

 同懇談会委員の原早苗氏(埼玉大学非常勤講師)も、懇談会の意見と違う報道を見て「びっくり仰天し、金融庁にかけつけることを七月から九月には何回もやった」と発言。特例や利息制限法の引き上げ案は「大勢を占めていた(反対)意見がはずされ、だれがいったかもわからない、少数意見が非常に尊重されている」ものだと批判しました。

 原氏は「なぜこのようにねじまがったか。業者が国会議員をまわり、議員から金融庁にずっと電話がきていた。業界に配慮したと感じている。私たちがのぞんだ法案ではない」と指摘しました。

 集会は、神奈川クレサラ対策協議会、高金利引き下げ神奈川県民会議が主催したもので、多重債務問題に取り組む弁護士、司法書士、相談員、被害者ら約二百三十人が参加。自民党案の利息制限法の上限金利の実質引き上げに対し「なんのための改革か。金利が高い利息制限法だが、それをみんなで利用できるようにと運動してきた。利息制限法の改悪は絶対許せない」(新里宏二弁護士)と厳しい批判が相次ぎました。


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