2006年9月13日(水)「しんぶん赤旗」

政府税調会長 異例の談話

09年度から消費税増税

大もうけ大企業は減税


 政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は十二日、「今後の税制改革についての議論に向けて」とした会長談話を発表しました。談話では、二〇〇九年度に基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げるために「消費税をその財源として位置付けることについて、検討する必要がある」と明記。〇九年度から消費税率を引き上げることを提言しました。


 談話は、「個人や企業がその能力を最大限発揮できる環境を整備する必要がある」と強調。石会長は同日の記者会見で、「国際競争力の観点から、現行法人税の基本税率がこのままでいいかどうかという議論がいずれ出てくる」と述べました。今後、法人税率の引き下げも必要になるとの考えを示唆したものです。

 また、今後検討すべき項目として、サラリーマンをはじめとする多くの国民に増税を押し付ける個人所得課税の配偶者控除、扶養控除、給与所得控除の見直し(縮小・廃止)についても列挙しました。

 政府税調はこれまで、三年の任期(今期十月五日まで)ごとに税制「改正」の基本方針を示す中期答申をまとめ、首相に提出してきました。会長談話という形で議論のまとめを示すのは異例です。すでに〇三年の中期答申で消費税率の二ケタ化(10%以上)を提言していた石会長は今回、中期答申を見送った理由について、「(政治的な配慮が)百パーセントなかったとは言えない」(五日の記者会見)と発言。いっせい地方選挙や参議院選挙に与える影響に配慮したものとみられています。

図

安倍氏も同様

 自民党総裁選(二十日投票)でも、安倍晋三官房長官が消費税率引き上げ法案を二〇〇八年の通常国会に提出する考えを示すなど、消費税増税が議論になっています。自民党は年金、介護、医療の連続改悪をしたうえ、〇九年度に基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一にする財源約二・七兆円を消費税増税で賄おうとしています。

 一方、小泉内閣が五年間で行った研究開発減税など大企業や大資産家への減税は三兆円近く。自民党総裁候補は「最先端産業の研究開発を強力に支援」(安倍官房長官)など、ひきつづく大企業減税を競いあっています。史上空前の大もうけをあげている大企業に応分の負担を求める発想はまるでありません。


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