2006年9月1日(金)「しんぶん赤旗」

主張

防災の日

災害の備え優先の国づくりを


 きょうは防災の日です。自然災害をすべてなくすことはできませんが、災害を未然に防止し、被害を最小限に食い止めることは、政治の力でできることです。

 十万五千人余の死者・行方不明者を出した関東大震災(一九二三年九月一日)から八十三年がたちます。六千四百人以上の命が奪われた九五年一月の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)をはじめ相次ぐ大地震の教訓は、災害に強いまちづくりと防災体制の強化です。

建築物の耐震化を急げ

 地震から、国民の命と暮らしを守る上で、建築物の耐震性を強めることは緊急課題です。政府は、耐震化を国家戦略と位置づけて、強化するとしています。阪神・淡路大震災から十一年たつ今も、避難所となる小中学校の耐震化率は半数程度から脱却できていません。その理由として自治体があげているのが予算措置の困難です。

 足元からの防災を国がよびかけるなら、防災拠点となる公共施設の耐震化は大前提です。今後十年間で、民間を含め住宅の耐震化率を75%から90%に高めるという政府の計画を現実にするためには、国の財政支援が不可欠です。

 防災の日は、五千人以上の死者・行方不明者を出した伊勢湾台風の翌年の一九六〇年に制定され、台風や水害に備えるという意味も込められています。四十年をへて、日本列島に上陸する台風が増え、集中豪雨も多くなるという変化があります。温暖化の影響が指摘されています。

 最近の水害の特徴の一つに、中小河川の破堤水害と都市型水害があります。流域の開発や排水能力の低下が被害を大きくしています。

 都市型水害では、雨水が染み込まない地表面の拡大とともに、地下空間の利用が、被害を拡大する要因になっています。地下空間の利用は、建築基準法の規制緩和によるもので、政治の責任が重大です。東京や福岡で地下空間の浸水被害による死者(一九九九年)が出たことを受けて、「『慎重さを欠いて、社会が地下利用に進んだことへの警告』との見方がある」との指摘があります(二〇〇六年六月、国立国会図書館「調査と情報」)。

 まちづくりそのものを、開発優先から防災重視に転換させることが重要になっています。

 災害発生時に、現場でただちに救援活動ができるのは、地域にあって地域の防災状況をもっとも把握している消防機関です。地域での救援活動に必要な消防力の強化が必要です。

 「官から民へ」の掛け声のもと、公務員の大量削減は、防災力強化に逆行します。

 災害が発生した場合、生活や営業の一日も早い再建を支援する制度を確立することが、切実に求められます。政府の“私有財産(住宅本体)には支援できない”という態度には、法的根拠はありません。

被災者支援の強化を

 実際、地震で被災した住宅再建への個人補償や、水害で中小企業の営業再建のために独自の助成を行っている自治体があります。被災者生活再建支援制度を、復興意欲がもてる水準に引き上げることを求めます。

 内閣府はようやく六月、「被災者支援に関する各種制度の概要」というパンフレットを作製しました。災害の初期には、避難勧告のタイミングや安全情報が重要ですが、その後はどうしたら住まいと暮らしを再建できるのかの情報が必要になります。政府は、広く国民に普及すべきです。


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