2006年8月22日(火)「しんぶん赤旗」
痛みを押しつけて “豊かさ”実感とは
奇異に響く麻生氏発言
麻生太郎外相は、二十一日の自民党総裁選への出馬表明で、「豊かさ実感倍増計画」なる政策を発表し、住環境改善などに意欲を示しました。しかし、「格差」や「貧困」がキーワードとなるほど、庶民に耐えがたい痛みを押し付けてきたのが小泉政治。麻生氏の発言は奇異に響きます。
「豊かさ実感」という麻生氏の言葉とは裏腹に、この五年間で、正規労働者が三百万人減る一方、非正規労働者は三百万人増。サラリーマン世帯の年収は減り、非正規雇用では年収百五十万円程度で結婚できない若者も増えました。生活保護世帯も増加しています。
麻生氏は、「元気はつらつな老人は高齢者の85%だ。元気な高齢者、元気シルバーは非常に大きな力の一つだ」と高齢者の活力に期待を寄せました。しかし、住民税増税に連動して雪だるま式の負担増が急襲しているのが、その高齢者世帯です。
麻生氏が語った個別政策をみても、無責任さが貫かれています。
「規制の見直しで住居のコストは下げられる」――規制緩和万能路線で、マンション等の耐震強度偽装事件の温床をつくった自民党政治の責任は棚上げです。
「地方でも、地域間格差はある程度一定にしてやるのが政治の責任だ」――総務相として地方切り捨ての「三位一体」改革を推進した責任にはほおかむりです。
「家を建てても、家族と過ごす時間がないのであれば、豊かさが実感できない」――労働法制の規制緩和をすすめ、長時間、低賃金労働を放置してきたのは小泉内閣自身です。
一方、麻生氏は、大企業向けには政策減税、そして庶民向けには増税を政策に明記しています。
自民党三役や主要閣僚として小泉政治を推し進めてきた麻生氏。いまさら「豊かさ実感」なんていってみても、しらじらしいだけです。(小)