2006年8月22日(火)「しんぶん赤旗」

主張

リフォーム詐欺

社会の力で悪質商法根絶を


 悪質な住宅リフォーム(補修・改修)被害が急増しています。

 「家屋を無料で点検します」などと高齢者の家にあがりこみ、「このままでは家がつぶれる」という脅しで不要な工事を契約させ、代金をだましとるのが手口です。被害も高額化し、自宅や老後の蓄えをむしりとられる悲惨な事例も少なくありません。広域で活動する組織的詐欺グループも現れるなど深刻な社会問題となっており、対策が急がれます。

高齢者ねらいうち

 警察庁のまとめでは今年上半期に悪質リフォームを特定商取引法違反で摘発した事件の被害総額は前年同期比で三十二億円増の百五十八億円、検挙件数は同三十件増の四十九件と激増しています。国民生活センターに寄せられる苦情・相談件数もこの十年間で三倍に増え、この数年は年間一万件近くに達しています。

 これらは悪質リフォームの被害全体からみれば氷山の一角にすぎません。警察が犯罪として認知・摘発した事件、国民生活センターに相談された事例の背後には、その何倍もの泣き寝入りさせられた人たちがいるのが常だからです。

 悪質リフォームがとりわけ卑劣なのは、判断力が弱りがちなお年寄りを狙い撃ちにしていることです。

 世帯主が六十五歳以上の高齢者世帯は全世帯の三分の一を超え、うち八割は一戸建てに暮らしています。独居や認知症のお年寄りに十分な判断ができない状態で契約させる(判断不十分者契約)、一度契約を結ぶと入れかわり業者が来て次から次に契約させられる(次々販売)―こんなやり方で被害は深刻化します。

 被害拡大の背景にクレジットがあることも見逃せません。悪質業者は消費者に支払い能力がなくてもクレジットを利用させて契約をとるからです。高額のクレジット契約を結ばされ家を競売にかけられるような被害も多く、クレジット会社が詐欺の「共犯」のような位置にいます。

 ▽契約は複数業者から見積もりを取るなど手間と時間を十分かける▽家族や身近にいる人が注意する▽不審に感じたら公的機関に相談する―被害の現場ではこうした防止策が考えられます。しかし、相手が犯罪者集団だけに限界があります。

 これまで後手にまわってきた行政が本格的な対策をおこなうことが必要です。肝心の消費者センターが予算も人員も減らされているような逆行はあらためなければなりません。被害者の救済と悪質業者の排除へ、実効ある対策に乗り出すべきです。

 日本共産党は国会で「次々販売」やクレジット会社の責任を追及、全国信販協会がリフォーム関連業者との加盟店契約を総点検し悪質業者との取引停止をすすめる道筋をつけました。二〇〇四年には消費者の権利と国・地方自治体、事業者の責務を明記する消費者保護基本法改正案大綱を発表し、消費者被害根絶に向け積極的な提案をしてきました。

すさんだ「商法」なくそう

 いま、長く消費者運動にたずさわってきた人たちの間で「消費者保護基本法ができた一九六〇年代末から今日まで、こんなに心がすさんだ商売が横行した時期があっただろうか」という声があがっています。

 「規制緩和万能」の風潮のなかで、「消費者行政は保護から自己責任の時代にかわった」という議論が一部にあります。しかし、消費者が被害にあわないよう支援するのは国・自治体の責任です。それをしっかりと土台にすえ、悪質商法の根絶に向かわなければなりません。


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