2006年8月21日(月)「しんぶん赤旗」

加害と痛み理解して

旧日本軍による住民虐殺の地 「撫順」から考える

東京で集い


 「『撫順(ぶじゅん、フーシュン)』―加害と再生の地から現代と未来を語る!」イベントが二十日、都内で開かれ、哲学者の高橋哲哉さんとジャーナリストの斎藤貴男さんが対談しました。両氏は参加者三百余人を前に、過去の戦争から現在の沖縄米軍基地、イラク戦争などの問題に触れ、「他者の痛みを知る」「加害に目を向ける」ことが大事だと語りました。

 撫順は中国東北部の遼寧省に位置し、旧日本軍が一九三二年に住民虐殺をした「加害」の場所(平頂山事件)であり、一方で多くの戦犯が戦争中の過ちを認めて謝罪し人間性を取り戻した「再生」の場所(撫順戦犯管理所)でもあります。その地を高橋、斎藤両氏が訪れ、旧日本軍の加害の残虐性を深く印象に刻みました。

 高橋氏は「戦争の記憶で伝えられてきた多くは東京大空襲や沖縄戦、広島・長崎の原爆投下で、それらは四五年一月以降に起きたこと」だと指摘。「戦争はそれ以前から十四年間も続いてきたのに、日本人は爆弾で逃げ惑うことで初めて戦争だと認識した」と語りました。現在の日本で同じ状況が繰り返されないために「過去の歴史を知り、反省を引き出し、他者の痛みを知る想像力を育てることが重要」だと話しました。

 小泉政権の姿勢を「アメリカと一緒に石油を求めて侵略する世にも恥ずかしい戦争」だと皮肉った斎藤氏。多くの日本人は米軍の進める戦争をそのように認識していないと分析しています。なぜ戦争が嫌かと考えるうえで飢餓や被害が嫌というだけでは足らず、「加害に目を向けたらこんな戦争はできない」と語りました。

 そして「加害責任は戦時中に限ったものではない」とし、戦後日本の高度成長の裏で朝鮮戦争やベトナム戦争があったことをあげました。いまある沖縄の米軍基地やイラク戦争の問題に触れながら、「二度と同じ過ちをしない国づくりが必要」だとのべました。


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