2006年8月21日(月)「しんぶん赤旗」

主張

教研全国集会

教育基本法の値打ちを再発見


 参加してよかった―。奈良県の二十五歳の女性教師の言葉です。全教など十五団体の「教育のつどい―教育研究全国集会」の分科会で養護学校での教育実践を報告しました。参加者から意見をもらい、授業のイメージが豊かにふくらみました。「答えを求めていくけど答えはない。だけど、また求めるという感じで」

 教育実践が、教育基本法の値打ちともかかわっていることを知ったのも収穫だといいます。同年代の若者による、教育基本法全十一条の群読に、「ああ、ええことゆうてる」とうなずき、楽しい授業づくりへの意欲をそそられました。

子どもの声を聞く

 今年の「教育のつどい」は、教育基本法改悪案が継続審議となるもとで、開かれました。政府の改悪案は、現行の、子どもたち一人ひとりの「人格の完成」をめざす教育から、「国策に従う人間」をつくる教育へと、教育の根本目的を百八十度転換させようとしています。

 子ども一人ひとりが人間らしく成長するための教育を、国民みんなの力でつくりあげようという、つどいの教育研究の営みは、政府がねらう教育基本法改悪と、真正面から対決する意味をもっています。開会全体集会(十七日)、分科会(十八―十九日)、教育フォーラム(二十日)を通じて、成長・発達の主体である子どもにたいする信頼を基礎に、教育をすすめようと、活発な議論がかわされました。

 たとえば、大阪の中学校では、入学時に教師不信に陥っていた親たち、子どもたちが、卒業時には教師集団に厚い信頼を寄せるようになったといいます。教師たちが三年間を見通し、「心に残る卒業式にしよう」と、子どもを信じて自己肯定感を育てることに力をつくしました。保護者の苦労にも心を寄せて、教師たちが、「お母さんたいへんやね」「一緒にがんばろうね」と声をかけてきました。

 山口県のある小学校では、学校づくりにたいする保護者と子どものアンケートをもとに、学校と保護者、地域との協議会「みんなの懇話会」を開催することができました。今後、保護者の参加を、どう増やすかが課題だといいます。

 愛媛県の小学校の教師は、親や祖父母の体験を聞く場を授業で設ける実践のなかで、すべての家庭の参加に努力しました。教室で話せない人は手紙を書いてもらい、それを教師が読むという方法も加えました。父母の体験談では、子ども時代のいじめや、いじめに反対できず、今でも後悔している話が、子どもたちの心に印象深く残ったといいます。

 小泉「構造改革」のもとで経済格差が広がり、国民の分断がすすめられています。それだけに、積極的に子どもと親と教職員がつながっていきたい―。つどいでの発言は、こんな気持ちがあふれていました。

学力を育てる願いに

 教育基本法を改悪して、政府が真っ先にやりたいのが、全国いっせい学力テストです。競争をあおり、教育の格差を広げようというのです。

 教育フォーラムで報告した愛知県犬山市の教育委員は、「『人格の完成』をめざす犬山市の学力観のもとでは、全国いっせい学力テストの不参加方針はごく自然な成り行きです」とのべました。

 つどいでは高校統廃合反対や平和、私学助成の問題で行動する高校生の姿が紹介され、参加者を元気づけました。父母の発言も活発でした。

 つどいの成功を力に教育基本法改悪案を廃案に追い込みましょう。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp