2006年8月15日(火)「しんぶん赤旗」

主張

終戦記念日

平和の決意生かす道進もう


 戦前の日本軍国主義が起こした戦争は六十一年前の一九四五年八月十五日終わりました。この戦争は、日本がアジア諸国の領土と資源を支配する目的で遂行し、その過程で二千万人を超えるアジアの人々の命を奪った侵略戦争でした。この戦争で日本では三百万人を超える人々が命を失いました。

 国民の四人に三人が戦後生まれとなったいま、私たち一人ひとりが侵略戦争の歴史に正面から向き合い、二度と戦争を起こさせないという、戦後の原点を認識し、いまに生かしていきたいと思います。

戦後の世界政治の原点

 今年の終戦記念日は、この戦争を「正しかった」とする靖国史観(靖国神社の歴史観)に政府の「公認」を与える小泉首相の靖国参拝が、国の内外でくりかえしきびしい批判を受ける中で迎えました。

 戦前の日本軍国主義は侵略戦争を正当化するために日本の「生命線」「生存圏」という言葉を使いました。これは「国土の防衛」とは無関係で、侵略の矛先を中国から東南アジア、インド、西太平洋の全域まで広げていく口実でした。

 日本の戦争は、他国の領土を奪うという目的だけでなく、手段でも許されない無法さと野蛮さを示しました。

 中国や東南アジアの占領地域で非戦闘員の虐殺、暴行と略奪、過酷な強制労働への駆り出し、食料の根こそぎ強奪がおこなわれました。日本軍国主義の人間を人間として扱わない野蛮さは、日本の一般兵士・士官にも及びました。日本の軍人、軍属の戦没者の過半数が飢餓のなかで無残な死をとげています。

 日本軍国主義が植民地支配した朝鮮では、民族の誇りを武力でふみにじる残酷な歴史が続きました。悔いても悔いてもつきないほどの反省が必要な侵略と植民地支配です。

 戦後の国際秩序は、日本がアジアで、ドイツ、イタリアがヨーロッパでおこなった戦争は犯罪的でけっして許されない侵略戦争だったという共通の認識の上に成り立っています。どんな国であれ、あのような侵略戦争をふたたび起こさない世界をめざすことが、国際政治の土台となりました。そうした侵略戦争への反省は、日本国憲法にも明記され、大多数の国民にとって戦後を生きる原点となっています。

 問題は、戦後の自民党政治がこの原点にそって政治をおこなってこなかったことです。侵略戦争へのまともな反省のないまま、長期間、政権をにぎってきました。とりわけ二〇〇一年に首相となった小泉氏が毎年靖国参拝を続けたことは、戦後の世界政治の原点をこわす逆流であり、日本のアジア外交を決定的にゆきづまらせました。小泉首相の靖国参拝を放置してきた自民党の責任はいっそう重大です。

平和のエネルギーが力

 アジア諸国との連帯・友好のためにも、世界で日本が生きていくためにも、小泉政権と自民党政治の歴史逆行に、いま私たち国民一人ひとりが、目をむけるときです。

 米軍再編・基地強化反対の自治体ぐるみの運動が各地に広がり、平和憲法をまもる「九条の会」が草の根の国民運動に発展しています。国民の平和へのエネルギーはつきません。

 「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」―憲法に明記された平和の決意を生かす道をすすみましょう。


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