2006年8月13日(日)「しんぶん赤旗」

主張

レバノン安保理決議

厳格に履行して和平への道を


 国連安保理が、レバノンで戦闘が勃発(ぼっぱつ)してから一カ月にして、ようやく全会一致で停戦決議を採択しました。決議は、イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの全面停戦、レバノン南部へのレバノン政府軍展開と国連レバノン暫定軍増強の開始に合わせてイスラエル軍が全面撤退すること―などを柱にしています。

 レバノン政府も、イスラエル首相も、受け入れる意向を表明しています。迫られているのは、イスラエルが政府として受け入れを決定することです。

全面停戦、撤退を確実に

 これ以上の犠牲を避け、激しい破壊からの復興とレバノンの主権回復を確実にするため、決議を実行することが決定的に重要です。この決議を厳格に履行することによってこそ、現在の戦闘をおわらせ、和平に向かう道が開かれます。

 イスラエル軍の激しい攻撃により、レバノンでは千人以上が犠牲になり、負傷者は数千人、避難民は百万人で人口の四分の一以上にもなります。イスラエル軍の空爆で主要道路や橋はほとんど破壊されました。犠牲者の多くは民間人で、多数の子どもが含まれます。

 レバノンの生活基盤の復興、生活再建に国際社会の緊急支援が求められます。イスラエルの民間人にも犠牲者が出ています。軍事力の応酬では無辜(むこ)の市民を犠牲にする悲惨を繰り返すだけで、安全も平和もつくれないことが誰の目にもあきらかになっています。

 停戦とイスラエル軍の侵攻地域からの撤退を厳格に実行させ、持続する和平の枠組みを構築しなければなりません。

 そのために不可欠なのは、レバノンの主権を回復し尊重することです。

 多くの宗派ごとに地域社会が構成されてきた「モザイク国家」といわれるレバノンで、二年前の安保理決議一五五九などが求めるヒズボラの「武装解除」=レバノン政府軍との関係の問題も、レバノン国民、政治勢力間の合意をつくりあげることによってのみ解決が可能です。イスラエルであれどの国であれ、武力介入することは許されません。

 前回、一九七八年にイスラエル軍が内戦状態のレバノンに軍事侵攻してから二〇〇〇年に撤退するまで、二十年以上を要し、多くの犠牲を強いました。イスラエルが他国を侵略、占領する限り、自国の安全も保障されないことは明白です。

 レバノンの主権確保に、国連と関係各国の集中的な努力が強く求められます。

 国連暫定軍は、レバノン政府軍と協力してレバノンの主権を確立することになっています。今回の決議に定められたこの任務を履行することによって、和平への道につなげる役割を果たすことができます。

パレスチナにも平和を

 イスラエル軍のレバノン侵攻は、ガザ地区とヨルダン川西岸のパレスチナ自治区に対する激しい軍事攻撃と並行して行われてきました。パレスチナ側の犠牲者はこの二カ月で百人を大きく上回ります。

 イスラエル軍はパレスチナにたいする度はずれな武力行使をやめ、パレスチナ武装勢力との停戦を実現し、ガザから撤退しなければなりません。パレスチナにも平和をもたらし、双方が拘束者の釈放などにとりくみ、和平に進めるようにするために、当事者と国際社会の公正で理性的な努力が求められています。


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