2006年8月13日(日)「しんぶん赤旗」

子育て母の輪 広がる話題

教育基本法にたどり着いた

フィンランド留学生も講師に

埼玉・所沢の新婦人


 「子どものことや、学校のことをみんなで話したい!」。埼玉県所沢市で、そんな思いを持つ母親たちがつくったのが「子育てネットワーク☆きらり」。集まれば、話題は尽きることなく、どんどん広がります。自分の子どもや学校のことから始まって、市の教育行政や、フィンランドの教育のこと…。そんな話し合いの中から見えてきたのは教育基本法の大切さです。(高間史人)


 「二学期制が導入されたせいで行事日程が変わって四月に参観日があるの。まだ慣れていない時期なのに子どもも先生もかわいそう」「運動会が九月になったでしょ。まだ暑いのに。しかも練習は七月から始まるのよ」

悩みや不安話す場

 埼玉県所沢市で開かれた「子育てネットワーク☆きらり」の例会のひとこまです。新日本婦人の会所沢支部の子育て中の会員たちでつくっています。現在、高校生から保育園児までの子を持つお母さんたち二十数人が会員です。

 中心メンバーで、中学二年、小学五年、二年の三人の母Aさん(39)は「子どもの学校のことで悩みや不安がいっぱいあるのに話す場がない。そんなお母さんが集まって気軽に話し、勉強できればと思っています」といいます。

 二カ月にほぼ一回例会を開いています。それぞれが学校について感じていること、考えていることを率直に話し合う「茶話会」、小学校の教師や保育園の園長を招いての学習会などを実施。侵略戦争を正当化する『新しい歴史教科書』が問題になったときには教科書の展示会にもいきました。

子ども平等に扱う

 話し合う中で“学力世界一”で話題になったフィンランドの教育について知りたいという意見が出ました。「学習会をしよう」。フィンランド大使館に問い合わせたところ、フィンランドセンター(学術研究・文化面で日本との相互協力を促進する機関)から、日本にきている留学生と最近までフィンランドに留学していた日本の女性が講師として来てくれました。

 競争ではなく、すべての子どもを平等に扱い、少人数学級でていねいにわかるまで教えるという話に「ああ、日本の教育基本法の考え方と同じだなと思いました」とAさん。日本では子どもたちが競争で差別されているし、お金もかかる。教育基本法と違うことがやられている。教育基本法でいっていることを実現することが子どもの幸せでは―と話し合いました。

子どもが生まれ「人ごと」が身近に

教基法の大切さ知らせたい

 埼玉県所沢市の「子育てネットワーク☆きらり」のメンバーは誘い合って教育基本法を考える集会にも何度か参加しています。そこで教育基本法改悪案が「愛国心」の強制などを狙っていることを知った古山美香さん(32)=仮名=は、もっと多くの人に知ってもらいたいと駅頭宣伝にも参加するようになりました。

 三歳の娘が通う保育園の園長にも「保育園で教育基本法問題のビラを配らせてもらえませんか」と頼みました。園長は「まずみんなでこの問題についてよく理解することが大切じゃないかしら」。園で話し合って講演会を企画してくれました。

 保護者ら五十数人が参加して小学校の教師から今の子どもと学校、教育基本法について話を聞きました。その後、グループに分かれて話し合うと、子どもが学校に行きたがらないといった悩みや、「塾に行っている子と行っていない子で差が出るのでは」という心配の声とともに、「愛国心」の問題、教師たちが「日の丸・君が代」の強制に反対しているのはどうしてかという質問も。時間が足りず、こんな話は初めて聞いたというお父さんから「もっと知りたい」という声もあがりました。

 古山さんは「以前はこういう問題はどこか人ごとみたいに感じていました」といいます。「子どもが生まれてからです。今の世の中ちょっと怖いんじゃないかと考えるようになったのは。憲法が変えられようとしたり、『日の丸・君が代』の問題で先生が処分されたり、急に変わっていくようで」。最初は、「私みたいな人が参加していいの?」と思いながら「きらり」の例会に参加。「学校のこととか私の知らないことをたくさん聞けてよかった」と話します。

教研集会に参加へ

 「きらり」のメンバーは十七日から二十日まで埼玉県内で開かれる教育研究全国集会「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい」の分科会に参加します。これまでの取り組みや親としての思いなどを語ることにしています。


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